
テーマは美の価値観に関する異文化ギャップ。
美しさとは何か? を風刺を利かせて描いているのですが、あまりにステレオタイプ。そして剥き出し。
分かりやすいのは良い事ですが、ただ材料を剝き出しで並べるのは作劇としては如何なものかと思います。
「ネオ・ウルトラQ/第三話・宇宙(そら)から来たビジネスマン」(2013年1月25日放送/入江悠監督)
自分の容姿を儚み自殺しようとした美樹(小泉深雪)は、ヴァルカヌス星人・羽屋丈二(杉村蝉之介)に止められます。
「あなたは美しい」
「美しい? この顔が? この顔のせいでこれまでどれだけ苦労してきたと思っているの!? 子供の時からずっと…ずっと」
それでもヴァルカヌス星人は言う。「あなたは美しい」と。
ヴァルカヌス星人の美の基準は生き物が持つ負のエネルギー。劣等感、悪意、憎悪、怨嗟。
死を選ぶほど容姿にコンプレックスを持っていた美樹はヴァルカヌス星人の眼には“美しい”と映ったわけです。
宇宙人はビジネスマンでした。美樹の願いを叶える(地球的価値基準に照らした美人にする)かわりに、契約満了の暁には巨大な負のエネルギーを抱えた美術品としてヴァルカヌス星に持ち帰られるという取引を持ちかけます。
偶然、この取引を知った絵美子(高梨臨)らは、美樹を取り戻すため、「もっと美しいものを持ってくる」ことを提案しますが…。
本当の美しさとは、醜さとは、を表現したいのは分かるのですが、そのまんま並べすぎ。
昨今の“自分の日記をそのまま書き写した”ようなJ-POPの歌詞を思い出してしまいました。歌謡曲とJ-POPを別つ分水嶺は“婉曲さ”にあると思うのですが如何でしょう。
負のエネルギーを数値化する計測器とか、人ではなく大地に堆積した負のエネルギーを採取する機械とか、アイデアは秀逸だったのですが、語り口が稚拙なのでパースペクティヴが全く広がらない残念な回になってしまいました。
今回で監督・脚本家が出揃った訳ですが、これから盛り返してくれるのでしょうか?
かなり不安です。