デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

狂気山脈を阻むもの。 プロメテウス

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なるほど…。

デル・トロ監督が「プロメテウスが狂気山脈の製作を阻むだろう(PROMETHEUS Has Probably Nixed AT THE MOUNTAINS OF MADNESS)」(NixedではなくKilledと表記しているサイトもある)と言ったのはこういう事だったのか。

確かにネタ丸被りです。ビジュアル・イメージも間違いなくラヴクラフトにインスパイアされているでしょう。

これで出来が良ければまだ諦めもついたでしょうが、こうも展開のための展開に終始する“無理が通れば道理引っ込む”脚本では…。

心中察するに余りあります。

「プロメテウス」
(2012年/リドリー・スコット監督)


呆れ返るくらい映像が美しいので何となく騙されてしまいますが、「ミッション・トゥ・マーズ」と同じ箱に入るトンデモSFです。

もう兎に角脚本が破綻しまくり。

世界各地で発見された(異なる時代の)人類と巨人の壁画。

地球に人類の種子たるDNAをもたらした巨人(の来訪)と人類(の誕生)の間には物凄い時間差があるはずなので、両者が出会っているはずはありません。

後から別の巨人があしげく地球に通っていたなら話は別ですが、だとしたら世界各地に巨人伝説(もしくは巨人を崇める宗教)が発生していたはずです。

で、この壁画を発見した科学者カップルが、巨人=人類を作ったエンジニア、壁画=招待状と何の根拠もなく確信。

壁画に描かれた星の絵から、それらしき惑星を特定し(嘘ぉ!)、ウェイランド社の死にかけ老いぼれ代表騙くらかして宇宙船拝借、クルー集めてゴーアヘッド! 解き明かすぜ、人類の起源!…って、あのよー。

着いてみれば小高い丘の中に謎の施設が…ってピンポイントでそこに着陸するってどんな偶然だよ(地球を目指してきた宇宙船が偶然、日本の東京都千代田区丸の内一丁目に着陸するようなもんだぞ)。

この施設を内側からスキャンしてみたら、中央に埋まっているのは「エイリアン」で登場した馬蹄型宇宙船。

「あ、ここは酸素がある。空気は綺麗だ」

いきなりヘルメットマスクを取り外すクルー。なあ、酸素かあるって事は微生物とか細菌とかもいるって事じゃねえのか。アンドロイド・クルーは「アラビアのロレンス」がお気に入りみたいだが、「宇宙戦争」も観ておけ。

施設に記録されたホログラフ映像には逃げ惑う巨人(宇宙人)の姿が。発見した宇宙人の死体は死後約2,000年。

ここは巨人の母星ではなく、生物兵器を製造していた軍事施設…かも。

自分たちが造った生物に襲われて全滅したの…かな(全部推測)。

と思ったらコールドスリープで独り生きてるじゃん! よーし、叩き起こして人類の起源を、永遠の生命を!

しかし、目覚めた巨人は何だ、お前らとばかりに鎧袖一触皆殺し。嗚呼、折角宇宙を旅してきたのに…。

巨人が宇宙船を起動させて、スペース・ジョッキーになった時はちょっと興奮しましたが、主人公たちが宇宙船の転がってくる方向一直線に逃げるというコントで全部チャラ。

他にも「いや、それは辻褄合わんだろ」なシーン多数。

「エイリアン」の前日譚と言うよりは、時間軸の一部が交錯しているアナザー・ストーリーです。

因みに巨人が作っていたと思しき生物兵器はエイリアンではありません。イカ・タコ系軟体触手生物です(位置づけはショゴス、見てくれはダゴンって感じでしょうか)。

最後になってようやくハイブリッド亜種な形で“奴”の原型が顔を出しますが、これをサービスととるか興醒めととるかで評価が別れるかもしれません。

※参考:「せめて漫画で。 狂気の山脈」→2012年12月23日