『約束するわ。絶対にあなたを救ってみせる。何度繰り返すことになっても必ずあなたを守ってみせる!』
ハードボイルドな暗黒ファンタジーから一転、壮大なSFへ。
希望と絶望が相転移する魂のバランスシート。決算の行方は。
「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[後編]永遠の物語」(2012年/新房昭之総監督)
絶望と穢れの累積赤字で自己破産し、魔女となった美樹さやか。
「あの子は誰かを救った分だけ、これからは誰かを祟りながら生きていく」
「てめえ、それでも人間か!」
「勿論違うわ。…あなたも」
魔法少女の運命、それは戦っていたはずの魔女に自らがなってしまうこと。その時に生じる膨大なエネルギーの収穫こそ“インキュベーター”キュゥべえの目的。
「どうして教えてくれなかったの?!」
「聞かなかったからさ」
感情無き知的生命体の悪意無き合理主義の行き着く先、こちらの世界での呼び名は“悪魔”でしょう、多分。
「あんた! 信じてるって言ってたじゃないか。この力で人を幸せにできるって。頼むよ神様、こんな人生だったんだ、せめて一度くらい幸せな夢を見させてよ!」
美樹さやかと共に絶望の心中を遂げる佐倉杏子。
終盤はドラマの種明かし。何故、ほむらはまどかを知っていたのか、何故、まどかの前に立ち塞がったのか、何故、普通の中学生だったまどかに類稀な魔法少女の資質が備わっていたのか。
世界を敵にしてもたったひとりで闘うと誓ったほむら。まどかが示した願いとは…。
「そ、そんな事をしたら…」
「さあ、叶えてよ、インキュベーター!」
自らが希望そのものになることで世界を創りかえる凄絶な決意。「エヴァ」の旧劇場版と比較する向きもあるようですが、なんとなく分かるような気がします。