豪儀にもWOWOWがカラー版ウルトラQを全話放送。気になるエピを幾つかピックアップしてみます。
「総天然色ウルトラQ/第2話・五郎とゴロー」(オリジナルは1966年1月9日放送/円谷一監督)
モノクロ特撮をカラー化した時の一番の懸念は、実景とミニチュアの繋ぎの不自然さが誇張されてしまうのではないかという事。
期待半分不安半分でしたが、嬉しい事にこれは杞憂。
冒頭のロープウェイ実景から大猿ゴローが顔を出すセットへのパンは実に自然でした。
お話は旧日本軍が衰弱した兵士に与えるために開発した特殊栄養剤“青葉くるみ”を大量摂取したクモザルのゴローが巨大化してしまう、というもの。
ぶっちゃけ猿がでかくなるというだけの話で、シリーズの中でもかなり地味な存在なのですが、ゴローが市街地に出た時のミニチュアセットは結構気合が入っており、和製キングコングな面持ちを湛えています。
で、もうひとつ、避けては通れない五郎の存在。
野猿研究所の下男。クモザル・ゴローの育ての親。軽度の知育障害。重度の言語障害。村人は彼の事を「サルキチガイ」「エテキチ」と。
ゴローに餌を与えるために畑の野菜やスーパーの盗み出した五郎を村人総出でタコ殴り。
駆けつけた警察も「手荒な事はしていないだろうな」と言いつつ、リンチ容認な雰囲気。
「何でこんな事をしたんだ?」という万城目に村人が高笑いしながら一言。
『そいつに何を聞いたって無駄さ。唖(おし)に喋れる道理はねえ』(村人全員で爆笑)
間違いなくそういう風潮があったという証左であるわけですが、最早地上波では100年経っても放送不能でしょう。
地味ながら存在感抜群な1本です。