なんか…普通だな。
“ハリウッド式ファンタジーで忠臣蔵を換骨奪胎”ってのは与件だった訳ですから、史実をうっちゃろうが、妖術使いが出てこようが、妖怪変化が闊歩しようが特に問題ありません。
日本にだって「里見八犬伝」や「魔界転生」なんて作品があるわけですし。
こちらの期待としては“歴史的駄目駄目”か“10年後カルト”な訳で、ハナっから文芸(アクション)大作なんざ求めちゃおりません。
誰一人髷を結っていない事と、中国のイメージが混じっている事の2点は激しく不快でしたが(藤岡弘、がいたら真剣振り回して暴れたんじゃないでしょうか)。
こういう“普通”の出来が一番の肩すかし。思い切りと開き直りが足りません。
「47RONIN」(2013年/カール・リンシュ監督)
お話は一応、忠臣蔵です。日本の文化に関してもそれなりに勉強はしているようです。
この“真面目に作ろう”という姿勢が、逆に作品を矮小なものにしている気がします。
やはり敗因は人物の描きこみが薄すぎたって事ではないでしょうか。
カイ(キアヌ・リーヴス)の出自も、吉良(浅野忠信)の野望も、大石(真田広之)の忠義も簡単なセリフで説明しておしまいなので、お話に深みが出ません。
中途半端に日本語を混ぜず、全編英語で通したのは潔し。
菊池凜子が演じた妖術使いは一昔前なら間違いなく夏木マリの持ちネタでしたね。
キアヌは本作で「ラスト・サムライ」におけるトム・クルーズの位置づけを狙ったのかもしれませんが、残念ながらあの域には届きませんでした。