ヒネリが無いにも程がある邦題のせいで、かえって内容が伝わり難くなっているような気が…。
この邦題で“ああ、「燃えよ!ドラゴン」のパロディね”と思う人がどれだけいるか。
「燃えよ!ピンポン」(2007年/ロバート・ベン・ガラント監督)
しかし、栄光の舞台で失態を演じ世界の笑いものになった挙句、その試合を賭博に利用しようとした父親がマフィアに殺されるというおまけがついて転落街道まっしぐら。
今やぶくぶくのメタボ中年となり、卓球の大道芸でなんとか食い繋いでいる崖っぷちの駄目男(ダン・フォグラー)に。
ミッションは、FBIがマークしている犯罪組織のボス、フェン(クリストファー・ウォーケン)が主催する地下卓球大会に選手として出場し、犯罪の証拠を見つける事。
フェンは父ピート(ロバート・パトリック)を殺した憎き敵(かたき)。ようし、やってやるぜ!
…とは思ったものの、腕は錆び、キレが無く、素人にも負ける凋落ぶり。
フェンの地下卓球大会に出場するには、フェンの耳に届くような実績をあげて“招待”されなければなりません。
FBIエージェント、ロドリゲス(ジョージ・ロペス)の口利きで、チャイナタウンに住む盲目の卓球マスター、ワンに弟子入りし、コーチ役であるマギー(マギーQ)の特訓を受けることに。
往年の勘を取り戻し、経験値を上げたランディは、伝説の達人“ドラゴン”(正体は幼女)を撃破。フェンから招待状である金の卓球ラケットを受け取る事ができました。
敗者はその場で殺される“サドン・デス・ルール(「聞いてないよ!」byランディ)”を採用した鬼トーナメントの行方は…。
という「燃えよ!ドラゴン」をベースに「ベストキッド」のエッセンスを振りまいてお馬鹿で煮〆たすっとこどっこい映画(←褒めています)です。
“エルトン・ジョンのお下がり”のようなド派手な衣装を纏ったオカマの悪党という1本筋の通った悪人キャラを演じるクリストファー・ウォーケンがいい感じ。
彼の主催するパーティ会場は、中国・日本・朝鮮の文化が入り乱れて百花繚乱。謎を解くカギに俳句とか使っていましたが、分かってやっているのでしょうか。それともアジアはひとつで個々の国の区別なんかついていないということでしょうか。
原題は「BALLS OF FURY」で「ドラゴン怒りの鉄拳」の英題“FISTS OF FURY”を踏襲しています。
チャイナタウンのチンピラ役(兼卓球養女の通訳役)でジェンソン・スコット・リー(93年の「ドラゴン/ブルース・リー物語」でブルースを演ってた人)も。
ついでに言うと、大会の招待状である“黄金のラケット”を手渡していたケイリー=ヒロユキ・カダワは「47RONIN」で徳川綱吉を演っております。
出演者はプロの指導の下、卓球の特訓を受けたそうですが、最終的には全部CGになったそうです(骨折り損!)
「少林サッカー」と並ぶ“正しいCGの使い方”マニュアルだと思います。