これまで出回っていたDVDが3倍速ダビングを繰り返したVHS並みの退色しまくった画質だったので、BDによる再発を切望しておりましたが、これは期待以上。
ただ、解像度・音質と一緒に嫌々感も倍加しましたが…。
「ザ・ブルード/怒りのメタファー[リストア版BD]」(1979年/デヴィッド・クローネンバーグ監督)
内容に関しては以前のレビューを参考にして頂くとして、
今回は画質等に関して。
セーターの網目から壁紙の模様まですっきりくっきり。発色も抑え気味ではありますが、雪の中のパーカー(赤、青、黄)が映える映える。
全体的に色味を控えている分、鮮血がよりショッキング。
もう絶対に撮れない子供による幼稚園襲撃&教師撲殺シーン
音もリニアPCM5.1ch化が施されて、より立体的に。
冒頭の公開治療シーンなど、本当に舞台演劇を観ているような音場になっています。
被害妄想を怒りに転化させ、さらに実体化させる…どういう精神状態に置かれるとこんな話を思いつくのでしょう…と前回レビューで書きましたが、当時、クローネンバーグ監督は泥沼の離婚調停真っ只中だったそうで。
相手を高圧的に責めたてながら、フリークスを疑似子宮と化した腫瘍から次々産み落とすノーラ(サマンサ・エッガー。下写真右)のキャラクターには係争中の妻が反映されているようです。
本人が観たら怒るだろうなあ。女性に対する恐怖心が創作の源になっているという点では、リンチの「イレイザーヘッド」と同じ箱に入るのかもしれません。
因みにノーラ役のサマンサ・エッガーの撮影参加は僅か4日間。
そんな短時間で、あのテンションまで持って行ったのか…。凄いな。