デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

1975年の底力。 資金源強奪

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1975年。深作欣二はこの年だけで4本の映画を監督しています。

 

仁義の墓場」「県警対組織暴力」「新仁義なき戦い 組長の首」、そして、

 

「資金源強奪」1975年/ふかさくきんじ監督)

 

花会(“かかい”と読めば生け花の会ですが“はなかい”と読むと襲名披露の会、博徒などが仲間から金を集めるために催す会合という意味になります。ここでは兄弟盃の取り交わしを記念して開かれる賭場のこと)で動く現金の強奪計画。

 

カジノの上前をはねるのと一緒ですから和製オーシャンズ11とも言えます。尤もこっちは11人も仲間はおらず実行犯は3人ですが…。


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この“計画”だけで十分1本の映画になる所、そんなかったりー事はゴメンだとばかりに、3人の出会いから再会、準備から実行までを僅か30で活写。

 

ここから組に使い捨てられた男(北大路欣也)、その男に使い捨てられる男(川谷拓三、室田日出男)、漁夫の利を狙う刑事(梅宮辰夫)らの丁々発止の騙し合いが始まります。

 

(どの作品でもそうですが)不憫を煮〆たような拓ボンの生き様・死に様が素敵なアクセント。


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アマゾンでTシャツ売ってた!
 

にしても1975年。思い返せば凄まじい年でした。

 

「ドラゴンへの道」で景気良く幕を開けたかと思えば、2月は「悪魔のいけにえ」と「仁義の墓場」というダウナー系の傑作が並び、3月には「メカゴジラ」が大暴れ。

 

春は「県警対組織暴力」「ロンゲスト・ヤード」「暴動島根刑務所」「資金源強奪」という日米男祭り(わっしょい!)。

 

夏は「タワーリング・インフェルノ」「新幹線大爆破」「東京湾炎上」と燃え盛り、秋は「金環食」「動脈列島」と社会派作品が正義を問う。そして、満を持して「ジョーズ」公開。

 

どうですかお客さん。「エクソシスト」と「燃えよドラゴン」という映画史を塗り替える作品がやってきた73年も忘れ難いですが、75年も負けず劣らず。

 

作品に勢いがあると、売る方も調子に乗ってハッタリかましまくるので相乗効果で喧騒が生まれるのですが、今はちょっと無理っぽいですね。


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