『シンプロン・オリエント急行。リフィア、ニシュ、ベオグラード、ヴィンコヴツィ、ブロド、ブカレスト、ザグレブ、トリエステ、ヴェネツィア、ミラノ、ローザンヌ、ディジョン、パリ、ブローニュ、カレー、乗り換えてドーバー、ロンドン。発車まであと15分!』
停車駅を一気にまくし立てる駅員。声を張らないとかき消されてしまうほどの喧騒。
この落ち着かなさ、わさわさ感、出立前の緊張感。
それはとりもなおさずこれから始まる物語への期待感。
この手のお話(コアなマニアのいるミステリー)はどう作っても何かしら文句を言われるもの。
幸い、原作に対する深い思い入れはないので、この旅の雰囲気が味わえただけでわたし的には満足です。
「オリエント急行殺人事件」
(2017年/ケネス・ブラナー監督)
ストーリーは皆さんご存知の通り。エルキュール・ポアロはケネス・ブラナー監督自身、ラチェットがジョニー・デップ、訳ありな乗客がペネロペ・クルス、ウィレム・デフォー、ジュディ・デンチ、ミシェル・ファイファーなどなど。
有名作の(作り手にとって)有り難い所は、多少脚本にアラがあっても観客が原作に則って脳内補完してくれることでしょう。
これなら脚本が「エイリアン:コヴェナント」「ブレードランナー2049」のマイケル・グリーンでも安心です。
単に雪に阻まれて立ち往生、ではなく、雪崩を喰らって断崖にへばりついている木造架橋の上で脱輪という「アバランチ・エクスプレス」×「カサンドラ・クロス」な状況。
ポアロは屋根の上歩いたり、架橋でアクションしたりと大忙し。
それでも落ち着きがないという程の事はなく、ギリ重厚の範疇に留まっています。
最後の推理は分かりやすい最後の晩餐。
事件を解決したポアロはその足で次のミッション(ナイル殺人事件)へ。
ナイルまでお付き合いしてもいいかな…。
★ご参考