『大人になってしまえば、そんな大舞台にはそうそう巡り合えない。そこに立てるのは、才能ある者の特権なのだから。かみしめていらっしゃい』
高校最後の大会を前にしてプレッシャーに押し潰されそうになるうるか。
その緊張を『くだらないわね』と切り捨てる真冬先生。
フィギュアのアスリートとして何度となく大舞台を踏んだ真冬先生ならではのアドバイス。
本来ならこの一言に後押しされる形で自身の進む道を決めるはずだったのですが…。
「ぼくたちは勉強ができない!/2期8話・ゆく[X]の流れは絶えずして…」(2019年11月23日深夜BS11放送/前園文夫演出)
今週はうるか回。原作の「問63」「問76」「問83」という飛び石エピをうるかを横串にして1本にまとめています。
体育赤点→水泳補習となった成幸。ビート板を持っても撃沈された潜水艦のように水底に沈むアルティメット金槌。
泳ぎの「コツ」を教えようとして何も伝えられないうるか(←肉体言語しか持ち合わせていない。長嶋茂雄系)。
業を煮やした真冬先生(←体育教師にその場を押し付けられた)が文字通り手を取って…。
冒頭の台詞はその後のシャワールームでのうるかと真冬先生の会話から。
吹っ切れたうるかは大会優勝。そして、水泳の名門オズウェイ・ヨーギィ大学から海外留学のお誘いが。
原作では告知されたその場で『やります!』と即答するのですが、アニメでは煮え切らずに判断留保。
う~む。ここはドアに耳つけて立ち聞きしている川っち海っちの『そんな大事な事この場で決められるわけ…』という心配をよそに断言宣言するうるかの清々しさに惚れ惚れしちゃう所なのですが…。
後押ししてくれたのは真冬先生の『才能ある者の特権』という台詞。
確かに(原作のように)留学告知の場にクラス担任でも教科担任でもましてや教頭のようなポジションでもない真冬先生が同席しているのは不自然ではあります。
でもそこは作劇的虚構と割り切って即答してほしかったなぁ。
代わりに告知と承諾の間に挟まれたのが「問83」。
ファミレスで成幸と文乃の会話をテーブル下に隠れて盗み聞くうるか。
うるかに恋人ができたら幸せになって欲しいけど、やっぱりちょっと寂しいと言う成幸。
『やっぱり、唯我君はうるかちゃんのこと、本当に大切に思ってるんだねー…』
『当り前だろ』(即答)
成幸名台詞のひとつだと思います。
結果、うるかは海外留学を承諾(推薦枠通って日常会話に困らない程度の英語力を身に着けることが条件ではありますが)。
行動のトリガーを引くのは真冬先生ではなく成幸であるべきだ、という演出上の判断なのかもしれませんが、やはりうるかには迷わず即答してほしかったなぁ…。