『人間の最古の感情は恐怖、そしてその最たるものは未知なるものへの恐怖である』
The oldest and strongest emotion of mankind is fear, and the oldest and strongest kind of fear is fear of the Unknown.
冒頭にラヴクラフトの恐怖文学論「SUPERNATURAL HORROR IN LITERATURE」の出だしを引用。いきなり大きく出ましたが…。
「アルカディア」(2017年/アーロン・ムーアヘッド&ジャスティン・ベンソン監督)
ジャスティンとアーロンの兄弟(←監督二人がそのままの名前で主演しています)は10年前、カルト教団と呼ばれていた共同集落“アルカディア・キャンプ”(←スモールサイズ・ヤマギシ)から逃れてきました。
しかし世間の風は厳しく、他者とも馴染めず、生活は困窮。
インスタントラーメンを茹でながら、弟アーロンは考えます。
『あのまま教団のキャンプにいれば温かい部屋と新鮮な野菜や魚をもらえたのに…』
そうだ、キャンプ行こう。
兄ジャスティンを説得し、1日だけの約束で懐かしのアルカディア・キャンプへ。
驚いたことにキャンプの中は時間が止まったかのように昔のまま。人の見た目も変わりなし。
大自然と共に生きると加齢がスキップされるのか。
そして、キャンプには超自然(スーパーナチュラル)な現象の数々が…。
天空に伸びたロープを引っ張る謎儀式(邪神と綱引き?)
原題は「THE ENDLESS」。身も蓋もないネタバレタイトルです。
ENDLESS…教団とその周辺地域は終わる事無き無限ループの呪縛に囚われていました。
面白いのは、人やエリアによってループのスパンが異なる事。10年という時間をループする人もいれば、数時間を繰り返す人も。最短は5秒(←これはインパクトありました)。
キャンプ周辺を支配する“あの方”とは?
人間にちょっかい出せて、時間を操れる邪神となるとニャルラトホテプですが、どこまで意識しているのでしょう。
ラストはハッピーエンドかウルトラバッドエンドか。観る側の想像力が試されます。
異常なシチュエーション(無限ループ)からの脱出という意味では「トライアングル」「ランダム 存在の確立」と似たような手触りですが、残念ながら作り手の意識が先走り過ぎて超えず及ばず。
もうちっとこっちの(偏差値貧乏な)レベルに歩み寄ってくれると助かるのですが…。
★ご参考