ビデオジャケットには“殺人ループ地獄”という安いにも程があるサブタイが付けられていますが、かなり真っ当な(見応えのある)心理スリラー(ホラーの括りではない)です。
「トライアングル」(2009年/クリストファー・スミス監督)
自閉症の息子に育児ノイローゼMAXのジェス(メリッサ・ジョージ)は、友人の薦めでヨット・セーリングへ。
ところが、突然の高波にヨットは横転(ここで余分キャラひとり間引き)。
大海原で無線も水も食料も無し。絶望感漂う中、目の前に豪華客船が!
助かった! と乗り込んではみたものの、船内無人。客室フロアを操舵室目指して進む中、キャスの脳裏に既視感が。
この船、見覚えがある…。
横の通路で物音と足音。落ちていたのはキャスのキーホルダー。今のは誰だ…?
予備知識ゼロでの鑑賞だったので、豪華客船が出てきた時は、「おおっと、ゴーストか血のシャワーかはたまたグリードか?!」と思いましたが、当然そんな方向に進むはずもなく。
無限ループ地獄の始まりです。
すみません、ここからは何を書いてもネタバレになってしまうので、タイム・パラドックスものが好き(多少の無理・矛盾はスルーできる)な人は、ジャケの解説は読まずに(景気良くネタバレしています)レンタルしてください。
時間軸そのものが戻るわけではない(主人公は前ループの経験を踏まえて次ループに突入する)ので、“ループ”というよりは“リフレイン”の方が近いかもしれません。
出口無しの円環ストーリーを一気に横っ飛びさせて、抜けた!と思いきや、それもループの一環であると気づくあたりの怖さはなかなかのもの。
「いやいや、それはおかしくないか?」と感じる場面も多々ありますが、伏線の張り方と回収の仕方がお上手なので、一気に終わりまで魅せるパワーがあります。
疑問点を整理したうえで、2順目(鑑賞ループ)に突入してください。