雇われ観光漁船の船長としてこき使われるのに疲れた。もう若くないし自分の船が欲しい。今日は競売の日だ。何か掘り出し物は…。
あった。恐ろしく年代物だが神秘的で美しい。当初予定は釣り船だったが抗えない。妻は反対するかもしれないが、この機を逃したら二度と巡り合えないだろう。
船名も娘と同じメアリーだ。運命を感じるじゃないか。よし、買うぞ。
後悔先に立たず。航海だけに…いや、何でもありません。
「死霊船 メアリー号の呪い」(2019年/マイケル・ゴイ監督)
マイケル・ゴイ、良い名前です。マイケル・ベイと1字違い(マイケル・ホイとも一字違い)。
人生の転機を求めて中古船を購入したデヴィッド(ゲイリー・オールドマン)。
帆を張り直し、床を貼り直し。お色直しを済ませたら妻サラ(エミリー・モーティマー)、長女リンジーとその恋人トミー、末娘メアリーと仕事仲間のマイクを乗せて処女航海。
しかし、その船、メアリー号は少なくとも過去3回に渡って漂流(その都度、乗組員全員行方不明)を繰り返していた呪われた船でした。
「何なに、記念写真?私も混ぜて~」
…という初期設定から予想される事はきちんと起きます。が、予想以上の事は何ひとつ起きません。
良く言えば「看板に偽りなし」、有体に言えば「予定調和の佃煮」。
ただ、役者はしっかりしているので、それなりに魅せてはくれます。
当初、ゲイリー・オールドマンの役はニコラス・ケイジだったそうで。「あの(仕事を選ばない)」ニコラス・ケイジが断ったのならそれは貴重なケースと言えるかもしれません。
魔女の霊が物理攻撃を仕掛けてきたので、こりゃゲイリーの事だから何か1発キメて物理で霊を倒すんじゃないかと期待しましたが、全然そんな事もなく(当たり前だ!)。
淡々粛々と地味ぃにお話は進んでまいります。
特に語る事もないので、急遽特別企画「こんな船は嫌だ選手権」をお送りいたします。
幽霊船というモチーフなら「ゴースト・シップ」「ゴースト 血のシャワー」「ザ・フォッグ」「エル・ゾンビⅢ 死霊船大虐殺」なんてところがエントリーになりますが、今回は「豪華客船」縛りで。
エントリーはこの5本。
- ザ・グリード【宝船だ!と思って乗り込んでみたら大食漢の先客が…】
- トライアングル【ヨット転覆オーマイガ!目の前に豪華客船。これは天の助け!…じゃなかった】
- ジャガーノート【♪ダイナマイトがよ~ダイナマイトが百五十屯】
- ポセイドン・アドベンチャー2【♪プルトニウムがよ~プルトニウムが何だって?】
- 13日の金曜日PART8/ジェイソンN.Y.へ【すみません、員数合わせです】
無理矢理5本にしたらすっとこどっこいな奴も混じってしまいました。
「トライアングル」の変則アイデアは買いですが、ここは順当に「ジャガーノート」を讃えておきたいと思います。
★各作品レビューはこちらから。
★本日8月9日はメラニー・グリフィス(1957~)の誕生日(おめでとうございます!)
「ワーキング・ガール」とか結構好きなんですが、本日はこの2本立てで。
追悼:小林清志
次元大介が旅立ってしまいました。7月30日。肺炎。89歳。
ついこの間、小林次元の最後の雄姿を見届けたばかりだと言うのに。
これで初代ルパン、初代銭形、初代二代目五ェ門、そして初代次元が鬼籍入り。
時間は残酷。ご冥福をお祈りいたします。