制作費5万ドル。撮影日数5日。全登場人物8名。
アイデアと語り口さえしっかりしていれば、SFは撮れるという見本。
「ランダム 存在の確率」(2013年/ジェームズ・ウォード・バンキット監督)
ミラー彗星が最も地球に接近する夜。ホームパーティに集まった8人の男女。
宴たけなわに突如停電。同時に全員の携帯破損or不通。固定電話無し。ネットもアウトでスカイプも駄目。
隣近所も真っ暗。いや、待て、ちょいと離れた一軒だけ電気がついているぞ。電話を貸してもらおう。
先遣隊2名が出向きましたが、彼らがそこで見たものは…。
全く同じ家でホームパーティをやっている自分ら二人を除く友人たちでした。
平行世界か多次元宇宙か。『シュレーディンガーの猫』を例えに全ての可能性を内在する状態ではないかと推論しますが…。
やがて、今集まっているメンバーに別次元の人間が混ざっている、という「物体X」的状況になり、“お前は誰だ?”な『ボディ・スナッチャー』的展開を生み…。
さらに家は向こうとこっちの二軒しか見えないものの、これが無限に重なる多層構造になっているため、行き来する度に全く違う次元にランダムに送り出されるという収拾のつかない展開に。
元に家に戻ってきたつもりが、なにやら様子が微妙に違うという逆デジャヴ。
SFというよりは『トワイライト・ゾーン』に近いイメージ。リチャード・マシスンあたりが好んで取り上げそうな題材です。
オチの付け方もトワイライト・チック。
良質なSFに必要なのは知的興奮であって、予算は関係ないんですね。