デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

頭皮剥ぎ職人の憂鬱。 マニアック【イライジャ・ウッド版】

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『想像と違うわ』(You are totally not what imagined.)

『どう想像してたの?』(Really? What did you imagine?)

『太ってて、黒い長髪で、脂ぎったニキビ顔かと』

(Uh... fat, with long black hair and greasy skin full of acne.)

 

それはこんな☟顔の人のことですね。分かります。

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「マニアック」

(2012年/フランク・カルフン監督)

 

ザコンをこじらせて生身の女が愛せなくなり、頭皮ごと剥ぎ取った頭髪をマネキンに被せてセックスの代償行為としている変態シリアルキラーを描いた1980年のカルト作の32年ぶりのリメイク。

正直、オリジナルは主役であるジョー・スピネルの圧倒的存在感と、トム・サヴィーニの無駄に力の入った特殊効果以外さして観る所のない(そのくせ嫌ぁな後味だけは長く続く)陰惨な話なのですが、何故これをリメイクしようと思ったんでしょ。

主役はイライジャ・ウッド。製作と脚本にはアレクサンドル・アジャの名が。

イライジャってたまに「シン・シティ」とか「ゾンビスクール!」とか『仕事選べよ』な作品に顔だしますが、選んだ結果がこれなんでしょうね、きっと。

お話の大筋はオリジナル通りなんですが、撮り方が変化球。

ほぼ全編イライジャ視点。

つまり、イライジャが鏡を覗いたり、ガラスとかに写り込んだ時のみ顔が見える仕様になっています。

顔は映っていませんが、駐車場の車体に写ったひと仕事終えた後のイライジャの雄姿がこちら。

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オリジナルのメインビジュアルのトレスですね(反転していますが左右も合っています。見事なリスペクト)。

オリジナルはトム・サヴィーニが色々やりたがったせいか、バリエーションに富んだ殺し技が観れましたが、本作は頭皮剥ぎ一筋(もはや職人)。

主役がイライジャになった分、病的な気持ち悪さは倍増したかもしれません。

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スラッシャー特有のスカっと感はビタ一文ありません。ちょっとダウナーな気分になりたい時にどうぞ。

レンタル版、アマプラ版は頭皮剥ぎシーンにぼかしが入っています(唯一の見せ場なのに何考えてんだ)。

しっかりくっきり観たい人は無修正アンレイテッドなセル版でご覧ください。

おまけ

仲良くなった写真家の彼女とのデートムービーは「カリガリ博士」。

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こういうクラシックな作品が常時劇場公開されているとしたら素晴らしい事ですね(ロケーションはロサンゼルス)。

なあ、イライジャ、次は「ドリラー・キラー」とか演ってみないか?


★ご参考 

 

  


 

 

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★本日9月8日は「ニューヨークの日」。
1664年のこの日、オランダの西インド会社の支配下にあったマンハッタン島南端のニューアムステルダムがイギリスの支配下に移った時に、ヨーク公にちなんで「ニューヨーク」(New York)に改称されました。

ニューヨークを扱った映画は数知れず。オリジナル版「マニアック」もニューヨーク が舞台でした。

曼荼羅畑的ニューヨーク作品と言えば…