『緊張するな。撃たれても斬られても動じるな。
相打ち覚悟で行け。緊張が思考を駄目にする。
草食動物は緊張した瞬間に喰われる。
肉食動物は緊張しない。
俺たちは狩られに来たのか?』
『違います!』
『俺たちは≪狩る者≫だ』
ここ半世紀の間、戦場で常に不可能、無謀とされる作戦を全てコンプリートする伝説の傭兵。その名を知る者は無く、容姿・年齢不詳。
そもそも年齢の辻褄が合わないため、架空の人物、または複数の人間をつなぎ合わせた者とされている。
軍内に伝わる呼称は『伝説のリボーンゴースト(Legendary Reborn Ghost)』
という厨二病をとろ火でコトコト三昼夜煮込んだような設定の男が主人公。
勿論、日本人。お話の舞台は石川県金沢市。
「RE:BORN リボーン」(2017年/下村勇二監督)
2013年に俳優業を引退した坂口拓の本格アクション復帰作。新名義はTAK∴(最後の∴マークの意味とか読みとか不明)。
金沢でコンビニ(チェーン加入していない独立店舗)を営みながら少女サチと2人、まったりとした生活をしている敏郎(TAK∴)。
実は彼こそが伝説のリボ(恥ずかしいので以下略)。
まあ「レオン」「アジョシ」「イコライザー」(ついでに「ザ・レイド」)と同じ、いや近い、いや当たらずと言えど遠からず、な箱に入る「誰に喧嘩売ってんだ、ゴラ!」「格闘戦が見せ場だから尺もバランスも無視して飽きるまで延々見せちゃうぞ」なアクション映画。
見どころは何と言っても稲川義貴(本作の戦術・戦技スーパーバイザー)が生み出した近接格闘術ゼロレンジコンバット。
ウェイブという肩甲骨を回す独自の動きが異様(かっちょいいのとはちょっと、いや大分違う)。
すげー強い…んだけど、猫背な鶴太郎にも見えちゃうのが難点。
対複数の銃器所持者も当然想定内の格闘術ですが、相手が雑魚すぎて凄さが伝わって来ないのが更に難(君ら本当に傭兵部隊もしくは暗殺部隊なのかい?)。
個人的にはクライマックスの集団戦よりも、街中の刺客を雑踏の中で返り討ちにするシーンの方がグッときました。
相手の銃を奪い分解、マガジンだけ残して弾丸弾き出し、通行人のペン抜き取ってマガジンに突っ込み、スプリングの反動で刺客(特別ゲストいしだ壱成)の喉にぶっ刺して、掌底で根元まで。
これ「影同心Ⅱ」で水谷豊がやっていた、竹串ぴゅ→額にグサ→木槌パコーンと同じパターンですね。
いしだが鞄に仕込んだサイレンサー付きの銃で目分量な狙撃をしているとは言え、それを最小限の動きで避けながら接近する絵面(えづら)は嘘臭さとかっちょ良さがいい感じに同居しておりました。
TAK∴を狩ろうとする傭兵部隊の元上司ファントムに大塚明夫(まんまメタルギアソリッドⅤファントムペインのファントム)。
TAK∴を側面支援する傭兵仲間・健二に斎藤工。健二が派遣した助っ人がマックス(望月オーソン)とマサル(賢太)。
マックスはそれなりに経験積んだプロですが、マサルは今回現場初体験。
いくら経験が無いとは言え、小隊・中隊の数も分からないのは駄目だろ。動きは悪くなかったですが、甘い事言って感情に流されているので当然殉職。
マサルを倒したのが、チンチクリンのガキ(一応成人の女)なのですが、顔も声も話し方も行動も何かすげー癇に障る奴で出てくる度にイラっとしました。
ゼロレンジコンバットに興味のある方はどうぞ(観た人が思わず肩甲骨を回してしまう事を制作側は期待していたようですが、う~ん…)。
★ご参考
★最後に坂口拓2連発。