デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【本日の午後ローは】 マイル22 【なんちゃってノコギリ挽き】

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『長話はやめろ。この双極性障害野郎』

Stop monologuing, you bipolar fuck.

躁うつ病では』

I think he's more manic-depressed.

『自己愛性障害だろ』

Or narcissistic disorder.

解離性障害だよ』

Dissociative disorder.

『ただのクソよ』

He's just an asshole.


かつてここまで(しかも戦闘中に)身内から人格にダメ出しされる現場リーダーがいたでしょうか(多分いない)。

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この誰からも愛される(?)指揮官はマーク・ウォールバーグ。CIAの極秘軍事機関オーバーウォッチ所属の(超有能な)工作員です。

マイル22(2018年/ピーター・バーグ監督)

 

CIAはロシア連邦保安局のエージェントに奪われた(9つの都市をささらもさらにできる量の)セシウム奪還に躍起になっておりました。

架空の国家インドカー(インドネシアですね)の警官が、セシウムの隠し場所を記録したモバイルディスクを手に米国大使館に投降。

ディスクの情報は8時間で自動消滅するトラップ付き。亡命と引き換えに解除コードを教えると言う。

CIAは亡命を受諾。専用機の待機する空港まで護送することに。

その距離僅か22マイル(約35km)。しかし、そこにはインドカー政府の総力をあげた力任せな妨害工作が…。

という古くは「ガントレット」、ちょっと前なら「16ブロック」と同じ箱に入るシンプルな建て付けのお話…をよくもまあここまで分かりにくく…。

製作も兼ねるウォールバーグは「たまには捻った役柄を」とか思って「子供の頃から天才肌だが暴力衝動が抑えられない人格障害者」にしたのかもしれませんが、「天才肌」「有能なコマンダー」の部分がまるで感じられず、ただよく喋るだけの嫌味な奴に。

んで投降してきた警官がミスター・シラット、イコ・ウワイス。この時点で、あ、こいつ絶対ただ者じゃないやん。ってか主役だろ、こっちが(なのでラストのどんでん返しの意外性ゼロ)。

で、まあ脚本家はそれなりに凝ったお話を書いたつもりなんでしょうが見ている側の反応としては「え何で?」「んーどゆこと?」「いやそれはないだろ」のオンパレードで終わった後に只ならぬモヤモヤ感が残ります。

とは言え、アクションシーンだけ見ている分には実に清々しく。

何せインドカー政府側が民間人も旅行者も知った事か、な攻撃を仕掛けて来るので、景気のいい市街戦が大展開。

敵味方いずれも銃火器博覧会ですが、ウォールバーグ先生の得物はHeckler & Koch HK416

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独ヘッケラー&コッホ社(H&K社)が開発したカービンタイプのアサルトライフルです。

アメリカ陸軍が、H&K社にM4カービン(インドカー側の兵士が携帯していました)の改修を依頼して開発された独自改良版。

まあ色々あって米全軍への導入はされず、特殊部隊向けに留まりました(なので、ウォールバーグ先生が使っているのは理に適っています)。

計画時の名称からエンハンスド・カービン(Enhanced Carbine)とも呼ばれているそうです。

護送されているイコ・ウワイスも、ここが見せ場だとばかりに徒手空拳。

中でも襲撃者の首を割れたリアウィンドウに押し当てて右に左にゴーリゴリな「なんちゃってノコギリ挽き」にはちょっと脳が震えました。

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どんなに駄目駄目な作品でも、心に残るシーンがひとつでもあれば名作である、というマイルールに則り、本作を「名作」に認定します。

 

おまけ

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お前さん、何か最近よく見かけるな…。

 

という訳で、本日のTV放送❶【13:35~テレビ東京午後のロードショー】は本作「マイル22」。地上波初放送です。 

 

 

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★本日のTV放送❷【13:00~BSプレミアム/プレミアムシネマ】  

ダーティハリーの得物はご存じS&W M29ですが、本日2月25日はサミュエル・コルトが回転式拳銃の特許を取得した日(1836年)

ここからパターソン~ウォーカー~ドラグーン~ネイビーといったリボルバーの始祖が生まれ、ピースメーカーに結実していくわけです。

更にこの流れはアナコンダ~キングコブラ~パイソンというやたら強そうな名前の銃を生んでいきます。

本日はコルト系リボルバー絡みの記事をいくつかプレイバック。 

 いやはや今日は銃火器祭りだ…。