『私は…お姉ちゃんみたいな人になりたいの』
お姉ちゃんに命を救われた少女とそのお姉ちゃんの命を奪った少女。
未だ互いの寄る辺を知らない二人の出会いがもたらすものは。
「進撃の巨人 The Final Season/#10(通算70)・偽り者」(2021年2月21日深夜NHK放送/大峰輝之演出)
今回はそこかしこで縁(えにし)と因果がごっつんこ。
それはどれも悲しく救えずやりきれず…。
捕えられていたガビとファルコは門番撲殺して脱走。
二人が(家出してきたと偽って)身を隠したのはブラウス厩舎。ブラウス…そう、サシャの親父さんのところです。
取り持ったのはカヤ。それはかつてサシャが救った命。
『ねえ聞いて。大丈夫だからこの道を走って。弱くてもいいから。あなたを助けてくれる人は必ずいる。すぐには会えないかもしれないけどそれでも会えるまで走って。さあ行って!走って! 走らんかい!!』
(2期通算27話「ただいま」より)
マーレ奇襲作戦の英雄であるエレンを更迭した調査兵団団長ハンジに詰め寄るベルク新聞社の記者、リーブス商会。共に王政打倒で手を組んだ「戦友」。
『辛い立場なのは分かるよ、ハンジさん。だから目を見て言ってくれ。信じていいって!』
『すべてはエルディア国民みんなのためだ』
何も答えていないに等しい方便。あの時の一体感はどこへ…。
ハンジが向かった先にはエレン更迭の情報を外部に流した罪で逮捕されたフロックらエレン派の面々が。
その中にはかつてトロスト区でミカサが救った少女も…。
ハンジの胸に去来するのは、ハンジが嬉々として拷問を加えた中央第一憲兵ジェル・サネスの言葉。
『こういう役には多分順番がある。役を降りても誰かがすぐに変わりを演じ始める。道理でこの世からなくならねぇわけだ。がんばれよ…ハンジ』
ガビとファルコがマーレから来た事を(二人の会話から)知っていたカヤ。
エルディア人の過去の所業を声高に糾弾するガビを連れてカヤは自分の生家へ。
そこはカヤの母親が生きながら少しずつ巨人に喰われた場所。
『お母さんは誰も殺してない!何でお母さんはあんなに苦しんで殺されたの?何でお母さんは生きたまま体を食べられたの? ねえ、何のために殺されたの?』
思考がまとまらないガビの代わりに応えたのはファルコ。
『お母さんには何の罪もありません』
ガビとファルコの違いはエレンとライナーの会話を聴いているかどうか、ですね。
『なぁライナー、どうしてあの日、母さんは巨人に喰われたんだ?』
壁の中も海の向こうも何も変わりはしない。ファルコはその事を知ってしまった。
ファルコはただマーレに生まれただけ。カヤはただパラディ島に生まれただけ。
『お姉ちゃんが生きていたら、行く当てのないあなたたちを決して見捨てたりしない。私にそうしてくれたように…私は…お姉ちゃんみたいな人になりたいの』
マーレ人のコックがいるレストランに今度行くから連れて行ってあげる。きっとマーレに帰る手助けをしてくれる。
そのコックはサシャと将来を誓った男。
悲しすぎる…。
★ご参考
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★本日のTV放送【17:58~BSテレ東/水曜映画館】