『俺にも大事な人がいた! エルディア人だ! 悪魔の末裔だ!
だが彼女は誰よりも俺の料理を美味そうに喰った…
人を喜ばせる料理を作るのが本当の俺なんだと教えてくれた!
それがサシャ・ブラウス。お前に奪われた彼女の名前だ!』
連載時にほぼ読者全員の溜飲を下げたであろうニコロのガビ鉄拳制裁。
見せ場と言う意味ではこの後の怒涛の展開に引けをとらない中盤の山場です。
「進撃の巨人 The Final Season/#12(通算72)・森の子ら」(2021年3月7日深夜NHK放送/下司泰弘、宇田鋼之介演出)
ニコロのレストランに招待されたブラウス一家。ガビとファルコがマーレに戻る手助けができれば、と二人をニコロに引き合わせるカヤ。
初めて明らかになる互いの出自。愛と憎悪の交差点と化したレストランは正に修羅場。
怒りに我を忘れたニコロは高級ワインの瓶でファルコの脳天カチ割り、ガビに鉄拳雨あられ。
トドメをブラウス父に譲るも父ちゃんはこれを静かに拒否。
『サシャは狩人やった…』
森の中だけでは生きられんと、森の外に出したつもりが、世界は命の奪い合いを続ける巨大な森の中だった。
『せめて子供たちは、この森から出してやらんといかん。だから過去の罪や憎しみを背負うんは我々大人の責任や』
お父ちゃんの器のデカさを実感します。こういう懐の深い両親に育てられたんですねえ、サシャは。
綺麗に収めたかと思いきや、ナイフを手にガビに襲い掛かるカヤ。
『よくも!お姉ちゃんを!人殺し!友達だと思ってたのに!』
憎しみの連鎖はそう簡単に終わるものではないという現実。
間一髪止めたのはミカサ。
イェレナが唯一マーレ人を気遣った(ように見える)マーレ人の労働環境(例えばレストランとか)が怪しいと睨んだハンジ率いる調査兵団がニコロの店に駆け付けておりました。
ここで、ニコロが衝撃の告白。
『ハンジさん…その子(ファルコ)の口をすすいでやってくれ。あのワインが入っちまった。もう…手遅れだと思うけど…』
ファルコのドタマカチ割ったワインは、憲兵団など高級将校だけに振る舞われていた特別ワイン。勿論、ファルコが未成年だから健康を案じた訳ではありません。
『あのワインには…何が入っていたの?』
『多分…ジークの脊髄液だ』
ジークの脊髄液を体内に取り込んだ者はジークの叫びひとつで無垢の巨人に変身する。かつてマーレが敵対する大国を僅か一晩で落とした悪魔の奸計。
手遅れと知りつつ、ファルコが浴びたワインを洗い流す調査兵団の背後に立ったのはフロック率いるイエーガー派。
イエーガー派の目的は、ジークの軟禁場所を突き止め、エレンと接触させて地鳴らしを発動させること。
兵団との交渉は罠(ジークの元に案内すると見せかけて、途中で誰かにエレンを捕食させる)と見抜いて完全拒絶。ジークの居場所を知るハンジに案内させようという目論見。
ジークの脊髄液の入ったワインが兵団内で振る舞われている、我々はイェレナとジークの計画に踊らされている事をフロックに告げるハンジですが…。
『だとしても馬鹿な憲兵共がデカイ馬鹿になるだけでしょう?』
『は? 憲兵団が飲まされたとは言っていないぞ。まさか…あんたたち、ワインの事知ってたの!?』
この時のフロックの顔ときた日にゃ…。
ガビが禊の一端を済ませたので、ここからはフロックが悪役兼嫌われ者の役柄を一手に担う事になりますが、バトンタッチに相応しい爽やかな笑顔です。
で、その親玉(押しも押されぬ立派なラスボス)エレンが…音もなくミカサ、アルミンの前に(チビる寸前のカビの表情がまたいい)。
久しぶりの再会ですが、この先の会話は多分、今期イチ辛いものになるのではないかと…。
リヴァイ兵長が直面する試練も含めて来週キツそうだなぁ…。
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★本日3月9日は小説家ミッキー・スピレーン(1918~2006)の誕生日。
ミッキー・スピレーンと言えばこれですよねぇ、やっぱり…。