『ねえリヴァイ、みんな見てるかな? 今の私達を死んだ仲間に誇れるかな…』
第4期PART2終了から11ヶ月。待った甲斐がありました。正直、中抜け期間が長くてタイミング逸したんじゃないかと思っておりましたが、冒頭の地鳴らしで土下座謝罪でした。
見せ場だけで構成された怒涛の60分。前編の主役は間違いなく、ハンジ。
「進撃の巨人 The Final Season 完結編-前編-」(2023年3月3日深夜NHK放送/林祐一郎監督)
前編は原作33巻全頁を完全映像化。
始祖の巨人を手中に収めたエレンにより遂に発動された地鳴らし。
パラディ島の壁に眠る全ての巨人が解き放たれ、世界に向かって進撃を開始。
パラディ島を除くこの世の全てを踏み潰し焼き尽くすために。
人類滅亡を阻止するために手を組んだマーレの残党と生き残り調査兵団。
先行するエレンに追いつくためにフロック率いるイエーガー派が占拠していた港からヒィズル国の飛行艇を奪取。
組み上げ作業の出来るオディハの港に移動しますが、気合と根性で船にしがみついていたフロックの銃撃で燃料タンクに穴が。
フロックはハンジが放った立体機動装置のワイヤーアタックを喰らって絶命。
今際(いまわ)の際(きわ)の台詞がちょっと聞き取りにくかったので、原作から拾っておくと、
『行くな…行かないで…くれ。島の…みんな…殺される。俺…達の悪魔…それ…だけ、希…望』
憎まれ役を一手に引き受けたフロックでしたが、全ては島の住民の命を守るため。一本筋の通った悪役でした。
慌てて燃料タンクの溶接作業に入りますが、眼前に巨人の大群が。
時間稼ぎを申し出たのは…ハンジ。
後を託したのはアルミン。第15代調査兵団団長に任命して。
最後の見送りは勿論リヴァイ。
『おい、クソメガネ』
『わかるだろリヴァイ。ようやく来たって感じだ。私の番が。今最高にかっこつけたい気分なんだよ。このまま行かせてくれ』
『心臓を…捧げよ』
『君が言ってるの初めて聞いたよ』
一度は死にかけのリヴァイを担いでこのまま逃げてしまおうかとすら考えたハンジが今独り巨人の群れの中へ。
『あぁ…やっぱり巨人って、素晴らしいな』
武器は雷槍2本のみ。効果的に使って先頭を倒し、後続をコケさせて足止め。あとはひたすらブレードでうなじを切り刻み…。
しかし、巨人の発する熱には耐えきれず…。
炎の塊となって落下するハンジ。
気がつけば青空。
『飛行艇は!?』
『飛び立ったよ。ハンジ、お前は役目を果たした』
待っていたのは一足先に自由になった兵士たち。
『まったく…団長になんか指名されたせいで大変だったよ。エレンのバカがさあ…』
『ああ、大変だったな。ゆっくり聞くよ』
そんなに泣かすなよ…。
飛び立ったはいいものの、溶接に時間を取られた+地鳴らしの到着が予想より早かったため燃料は半分しか。
エレンが地鳴らしルートに入れたと思われる飛行船研究基地・スラトア要塞まで持つかどうか。
『絶対に辿り着いて見せる。ハンジさんが繋いでくれたこの飛行艇…最後の望み。俺が必ず基地まで届けて見せる。必ずだ!』
『頼んだよ、オニャンコポン』
最初、オニャンコポンって名前を聞いた時は「おニャン子…ポン!? 何の冗談だよ」と思いましたが、西アフリカ・ガーナのアシャンティ人に伝わる神、天空神の名前だったんですね。
アカン語でOnyankopɔn。意味は「偉大な者」。
そうとは知らずずっと色物キャラだと思っていました。ゴメンよオニャンコポン。
スラトア要塞には、飛行船での脱出を目論むエルディア人(ライナーの母やアニの父も)、飛行船全機を使って巨人に空爆を試みるマーレ軍の生き残りが。
船に残して来たファルコは共有したジークの記憶から自分が飛行可能な巨人なのではないかと。
巨大な骨格標本のような姿となって巨人の群れを率いるエレン。その背骨にダイブを敢行するアルミンら。
面子も舞台も整いました。後編は…秋!?
秋かよ~とも思いますが、劇場版クオリティのものを地上波で観られると思えば待つ意義はあるでしょう。
★原作該当巻のご紹介はこちら。
★本日3月6日は田中健(1951~)の誕生日(おめでとうございます!)。
若き日の代表作は間違いなくこの1本なんですが、褒めどころがなぁ…。
でも最近作の「犬鳴村」だと作品が駄目駄目な上に本人の存在感も今ひとつふたつみっつだった(レビューでは触れてもいない)ので、やはりこちらを。