防弾ベストを着た二人のガンファイターが至近距離で実弾撃ち合い弾き合い。
防弾部分以外を撃つのは反則(即反則負け。掛け金没収)。
予め指定されたスタンドエリアから出たり倒れたりして5カウント(ローカルルールでは10カウント)以内に続行の意思表示ができなければ負け。
観客も勿論賭けに興じます。鉄拳を銃弾に替えたストリート・ファイター。
ここは南米コロンビア。
「トランス・シューター」
(2015年/ケン・サンゼル監督)
意味不明な邦題(あと「早撃ちデス・ゲーム」なんてビデオ用副題つけた奴は減俸)ですが、原題はBlunt Force Trauma。
「鈍的外傷」と訳すそうですが、訳されてもよく分かりませんね。
鈍的外傷とは、皮膚を貫通しない強い打撲のこと。
防弾ベスト越しに実弾喰らうと、死にはしませんが強い衝撃が残ります。これがBlunt Force Traumaです。
ジョン(ライアン・クワンテン)は流れ者のガンファイター。得物はコルト・パイソン。
いつかこのゲームを考案した伝説のガンファイター、ゾリンジャー(ゾリンゲン+デリンジャー?)と銃火を交えたいと思っています。
コルト(フリーダ・ピント)は試合中に兄を殺した相手を探して旅している女ガンファイター。得物はスミス&ウェッソンM66(名前、コルトなのに!)。
見どころは場所によって(胴元によって?)異なるステージで開催されるゲーム(何か固有の名称をつけてほしかった)。
ある時は闘鶏場のような円形の空間で、ある時は線路と線路の間に出来た1直線の溝の中で。
防弾ベストに守られているとは言え、手元が狂えば、あるいは防弾以外の場所を狙われればたやすく命を落とす死のゲーム。貴族の決闘を思わせる詩的な佇まいと相まって静かな緊張感を醸し出しています。
伝説のガンファイター、ゾリンジャー役は何とミッキー・ローク。
崩れてもミッキー。場をさらう艶は大したもの(因みに本日9月16日はミッキー・ロークの誕生日です)。
派手派手な見せ場があるわけではありませんし、突っ込みたい所は多々あるのですが、英雄の地獄巡り的神話性があると言えなくもなくはない佳作であったと思います。
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★本文中でも触れましたが、本日9月16日はミッキー・ロークの誕生日(重ねておめでとうございます!)。
記念してマイ・ベスト・ミッキー・ロークを年代順に。