田中邦衛さんがお亡くなりになりました。
3月24日。老衰。88歳。
田中さんと言えば何はさておき槇原政吉（「仁義なき戦い」シリーズ）。
小心者のくせに（だからこそ？）セコい、小狡い。
機を見るに敏で、ヤバイと思ったら小芝居かまして一目散。
『わしゃ、死ぬゆうて問題じゃないが、女房がのぉ、腹に子がおって、これからの事思うとったら…可哀想で、可哀想で！…うわ、はぁ、はぁ〜あああ！（号泣）』
でバックレかましてカチコミ回避。
より大きな権力見れば磁石に吸い寄せられる砂鉄のように寝返り裏切り二枚舌。
『はははははは・・ワシの事はおやっさんがよー知っていおんなら』
正に虎の威を借る…。
実に外道を煮〆たような奴で本来なら嫌われて然るべきなのに、何故か山守組長共々愛される駄目キャラに。
これもひとえに田中邦衛という方のご人徳の賜物かと。
世間一般の評価はさておき、私的田中邦衛ベストキャラを挙げておきます。
まずは槇原ですが、今回は槇原のモデルである樋上実氏をモデルにした（つまり槇原と同一人物である）坂上元を演じたセルフリブート作を。
人物像で一番気に入っているのは「山口組三代目」のチェーストのトヨ。彼が高倉健にメシを振舞うシーンは田中さんの優しさが滲み出ていると思います。
印象一番は「暴動島根刑務所」の無期懲役囚・皆川喜一のマッハ自殺。
人はかくも瞬間的な思い切りで命を捨てることができるのか。
強面なのに心優しい「近頃なぜかチャールストン」の陸軍大臣も捨てがたい。
最後に「ルパン三世／念力珍作戦」（実写ルパン）の次元大介。田中邦衛が次元？ アリですよ、アリ。
次点としてTV「華麗なる刑事」（1977年。主演・草刈正雄）の九州男児・南郷五郎を。
「強い」「優しい」「面白い」から「弱い」「狡い」「卑怯」まで。
ありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。
☜ランキング投票です。よろしければワンポチを。
----------------------------------------------------------------------
お弔いの後で何ですが、本日４月4日はアンドレイ・タルコフスキー監督（1932～1986）、長谷部安春監督（1932～2009）、アキ・カウリスマキ監督（1957～）の誕生日（カウリスマキさん、おめでとうございます！）
ザ・作家性（笑）。安春さんの所が清順さんだったら更に完璧でしたが、安春（古の習わしに則りアンシュンと呼称）さんもなかなか。
各々１本チョイスで参りましょう。
※すみません、安春さんだけもう１本。
