『なんぼあんたが太うなった言うて、狙うちょるもんの方が強いんじゃけ』
おっと、この台詞は以前にも…と思いましたがそれも当然。
役名こそ変わっていますが、元ネタは仁義なき戦いと同じ飯干晃一の原作ルポ。
「完結篇」で一巡した物語を巻き戻したセルフリブートです。
菅原文太の役名は、呉・山守組々員・三好万亀夫となっていますが、モデルは美能幸三なので、「仁義なき戦い」の広能昌三と同一人物です。
若山富三郎の役名は、山守組若頭・青木尚武ですが、こちらもモデルは佐々木哲彦なので、「仁義なき戦い」で松方弘樹が演じた坂井鉄也その人です。
悪~い顔です富三郎。
唯一、山守組長夫婦のみ、オリジナルのまま金子信雄&木村俊恵で変わらず(正にこのシリーズの顔。因みに田中邦衛が演じた山守の腰巾着・坂上元はモデルが樋上実なので、オリジナルの槙原政吉と同一キャラ)。
同じ話を視点替えしてトレスしているわけですが、大きく異なるのは脚本が笠原和男ではなく、神波史男だと言うこと。
神波と言えば「実録 私設銀座警察」「0課の女 赤い手錠(ワッパ)」「暴走パニック大激突」。
この人の持つ独特の暗さ、閉塞感が本作に実録の誉れを上塗りしています。
「完結篇」の公開が74年6月、本作の公開が同年12月。東映の『やだやだ、まだこのシリーズで儲けるんだい!』な想いが伝わってくる2順目企画です。