デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

野良犬という生き方。 新仁義なき戦い 組長の首

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 銃弾か、それとも
 冷たい刃にするか…!?
 荒涼たる薄暮が迫る
 殺しの辺境で、男がふと
 選択に迷うとき
 いつか見た組長の
 首筋の汗が、よぎる…

もはやコピーでも惹句でもありません。現代詩です。
 
これが通っちゃうって、どんだけフリーダムだったんだ当時の東映は?(「この時期、はなんて幸福だろうと」by東映惹句師・関根忠郎)
 
「新仁義なき戦い 組長の首」1975年/深作欣二監督)
 
仁義なき戦い」をセルフリブートした「新仁義なき戦い」を“”とするなら、本作は“”。舞台も役柄も一新した文字通り全く新しい仁義なき戦いです。
 
北九州。関門海峡から流入してくるヤクの利権を二分する大和田組と共栄会。
 
大和田組の娘婿・楠鉄弥(山崎努)と兄弟盃を交わした流れ者(テロップは旅人!)・黒田修次(菅原文太)は鉄弥の代わりに共栄会の会長を的にかけて懲役7年。


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大和田組に幹部として迎えられるはずでしたが、鉄弥はポン中でヘロヘロ。報酬500万も空手形。組長(西村晃)の下には跡目の座を虎視眈々と狙う相原(成田三樹夫)が。
 
組織の中で割りを喰っていた広能昌三と違い、こちらの菅原文太は根無し草のアウトロー。失うものが何もない野良犬です。


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この表情! 今回の文太はしたたかです。
 
山崎努ポン中演技はなかなかで、病的な表情は2年後の「八つ墓村」多治見要蔵・久弥の原型。
 
西村晃は本作で生き埋めにされかかっていましたが、2年後の「北陸代理戦争」では雪の中に埋められています(笑)。
 
終盤ではこれまでになかったカーアクションも披露。ハンドル握っていた渡瀬恒彦含め翌年の「暴走パニック 大激突」「狂った野獣」のプロトタイプとなっています。


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脚本は「血と砂」「ポルノ時代劇 忘八武士道」の佐治乾、「マル秘女郎責め地獄」「ツィゴイネルワイゼン」の田中陽三、「資金源強奪」「野生の証明」の高田宏治3人掛かり。
 
役者はちょっとショボくなってしまいましたが、そこかしこに試行錯誤の跡が見られる意欲作だと思います。


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男優はショボくなりましたが女優陣は別。菱美“アンヌ”ゆり子の脱ぎっぷりを見よ!

★ご参考(ちょっと数が多いですが…) 

 

 

 

 

 

 

 

 

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