予告編の紹介だけで本編未視聴だったニュージーランド産アニマルゾンビをようやく鑑賞しました。
期待に違わぬ馬鹿っぷり。大満足です。
「ブラックシープ」(2006年/ジョナサン・キング監督)
羊牧場の跡取りでありながら、幼年期の事件が元で羊恐怖症に陥り、都会でセラピー暮らしをしているヘンリー。
牧場経営は兄アンガスに譲りましたが、合理化経営を押し進めたアンガスは質が高く従順な羊を生み出そうと羊の遺伝子操作という「それ絶対ダメな奴じゃん」な研究を。
勿論、研究は大失敗(そもそもゾンビ羊を生み出そうとしている研究にしか見えない)。
この失敗品(ほぼ幼生エイリアン…いやイレイザーヘッドか)を環境活動家が(告発のため)盗み出すという「もーそれ絶対ダメな奴じゃん」な「28日後」アタックをかまして素材流出。
廃棄素材に噛まれた羊は肉食ゾンビ羊に、そして、ゾンビ羊に噛まれた人間は怪奇!羊人間に(喰われた人間は当然ご臨終)。
ネタとしてのヒネりは全くなく、従来ゾンビを羊に置き換えただけなのですが、広大な草原で群れを成す肉食ゾンビ羊というビジュアルが最高。
更に羊に噛まれたら羊になるという狂ったシーンの素晴らしさ。
操作4人がかりという羊スーツやアニマトロニクス、正に特撮!な変身シークエンスは実験失敗ズルズル羊の造形と併せてロブ・ボッティン・リスペクト。
左:ハウリング 右:ブラックシープ
手作り感溢るるゴアシーンはピーター・ジャクソンの「バッド・テイスト」「ブレインデッド」を思わせます。
オチのテキトーさ加減もツボを外さず良い感じでした。
さて、本作で目を引いたのはお婆ちゃんが作っていた「ハギス」。
ハギスは羊の内臓(心臓・肝臓・肺)のミンチその他を羊の胃袋に詰めて茹でるか蒸すかしたスコットランドの伝統料理。
食べる前には英国詩人ロバート・バーンズの「ハギスのために(Address To A Haggis.)」を朗読するのがお約束(ちゃんとお婆ちゃんも詠唱しております)。
出来上がりもグロいですが、製造工程はさらにグロ(笑)。
内臓料理という出自を(主に子供から)隠すため、ハギスという架空の動物まで生み出されています(スコットランドでは毎年末に「ハギスハント」という捜索イベントまで開催されているそうで、目的も手段も間違えたトラッドな料理です)。
実は私、本場スコットランドでハギスを食した事があります。
「これでもか!」なタメを効かせた前口上の後に「これでもか!」な仰々しさでテーブルに運ばれて参りました。
味は…まぁ…美味しかったです、はい。
★ニュージーランドと言えばこの2本。
★本日のTV放送【13:40~テレビ東京/午後のロードショー】