デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【片手にククリ】アフリカン・サバイバー【心に誇り】

『グルカはイカれてるな』

『ああ…知ってるよ』

お話はいたってシンプル。

バートレット軍曹率いる秘密工作隊のミッションは闇市場に出回る予定だった金塊とミサイル4発の押収。

ノア大尉はこの工作隊を補佐する技術者。

金塊とミサイルの押収には成功しましたが、山岳地帯移動中にタリバンの襲撃を受け部隊は全滅。

ノア大尉はミサイルの誘導チップ(←これがないとミサイルを飛ばせない)を抱えてその場を離脱。

実は部隊とタリバンは内通していてバートレット軍曹は全滅偽装転売ヤーなのでした。

誘導チップがなければミサイルは買い取ってもらえない。ノア大佐はタリバンと部隊の双方から追われる事に。

逃げ込んだのは英国軍の前哨基地369。ほとんどの兵士は別の任務に駆り出されており、基地内にいるのは留守番2名(1人は早々に死亡)。

しかも、基地内の保有弾薬僅か400発。限りなく丸腰。


全滅必至の籠城戦。

「アフリカン・サバイバー」(2020年/トム・ペイトン監督)

状況だけ見ればまんま「要塞警察」ですが、演出が微妙で緊迫感は今ひとつふたつみっつ。

残った味方はただひとり。しかし、彼、ラナはグルカ兵でした。

ネパールの山岳民族から構成される戦闘集団の呼称、およびその傭兵を指す「グルカ兵」。

その優れた戦闘能力からイギリスをはじめとした世界の軍隊や警察に雇用されています。

ラナの部屋にはネパールの国旗が。


そして壁には「グルカ旅団」の旗が。


ラナの父も祖父もグルカ兵。英国のために誇りを胸に戦いましたが、国は年金を渋ってラナの家庭は火の車(奥さんは仕事みっつ掛け持ち。それでも未納の督促が来る)。

ある意味「報われぬ扱い」からミサイル転売ヤーになったバートレット軍曹らと同じ境遇。

ラナの腰にはグルカの象徴(旅団の旗にもあしらわれている)ククリが。

湾曲した刀身の短弧側に刃を持つ「内反り」と呼ばれる様式の刃物「ククリ」。


セポイの乱インド大反乱。1857-58)において、グルカ朝(現在のネパール)の兵士が、ククリを携え凶猛な白兵戦を行ったことに注目した英国が、彼らを傭兵として雇った」という経緯から、英語圏ではグルカナイフ(Gurkha knife)と呼ばれることもある民族の象徴。

弾がなくてもククリがあれば…。

序盤はノア大佐(アンドリュー・リー・ポッツ)が主役ですが、中盤以降は完全にラナ(ジャン=ボール・リー)が主役。

『俺の祖父は誇りの為に命を懸けた。父もだ。俺もそうする』

巻き込まれた当初は「薄給なのに」と嘆いていたラナですが、グルカの血が諦めることを許しませんでした。

演出がもちっとシャープなら、そこそこ盛り上がったと思うのですが、微妙なテンションに終始してしまったのがちょっと残念。

 

 

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