『お気に入りのホラー映画は何だい?』
what’s your favorite scary movie?
『「ババドック」ね。母性と悲しみについての素晴らしい瞑想体験よ』
The Babadook. It’s an amazing meditation on motherhood and grief.
『気取った映画だろ?』
Isn’t that a little fancy pants?
『これは”エレベイテッド・ホラー”なの』
Well, it’s elevated horror.
『エレベイテッド・ホラーって?』
Uh-huh. What does that mean, “Elevated horror”?
『怖いけど、複雑な感情やテーマの裏付けがあるの。ただ驚かせるだけのありきたりなものじゃないのよ』
It’s scary but with complex emotional and thematic underpinnings.
It’s not just some schlocky, cheeseball nonsense with wall-to-wall jump scares.
『退屈そうな映画だね』
Sounds kind of boring to me.
11/23にご紹介した「スクリーム」(2022年版)冒頭の“テレフォン殺人鬼”とのやりとりです。
ここと序盤の「関係者顔合わせシーン」でも登場する単語「ELEVATED HORROR」。
用語の解説をしてくださっているサイト(Martin Cid Magazine)の文章を抜粋するとELEVATED HORRORとは、
- 心理的または実存的な恐怖を利用して、サスペンスと緊張感を視聴者に与え、
- 人間の状態をより深く探求し、観客がより深く考える必要がある状況を提示し、
- 実存主義(環境との関係で自分自身をどう見ているか)に焦点を当てる
ホラー映画を指すんだそうです。
顕著な例として挙げているのが、
「ゲット・アウト」(2017)、「クワイエット・プレイス」(2018)、「ヘレディタリー」(2018)など。
なるほど。より分かりやすく訳すなら「意識高い系ホラー」って事ですね。
う~ん、しゃらくさい。ならば反目に張りましょう。
意識高い系の対極にあるのは「興味本位」で「見世物的」な「人でなし」ホラー。
血糊ドバドバ、切り株ゴロゴロ、内臓デロデロ、裸エロエロで効果音ドッカーン。そして「あーなんか俺ヤバイもの観ちゃったよ」なタチの悪いコメディ感。
それまでは慎み深く写さなかった殺傷シーンをアップで出すようになったのは「13日の金曜日」辺りからで、そこから「スクリーム」に連なる”スラッシャー映画”の系譜が続いて行くわけですが、スラッシャー映画については以前「スラッシャー映画に関する浅~い考察」で触れているので、今回は更に志を下げた(ホラーの枠には収まりきらないもの含む)偏差値貧乏見世物映画特選8本(この中途半端さが堪らない)を並べてみましょう。
センチネル
(1977年/マイケル・ウィナー監督)
裸のジャングル
(1966年/コーネル・ワイルド監督)
(1964年/ハーシェル・ゴードン・ルイス監督)
悪魔の植物人間
(1973年/ジャック・カーディフ監督)
(1980年/ルチオ・フルチ監督)
(1993年/ハーマン・ヤウ監督)
食人族
(1980年/ルッジェロ・デオダート監督)
徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑
(1976年/牧口雄二監督)
他にも「ホステル」「悪魔の沼」「ブレインデッド」「ブルード/怒りのメタファー」とかいくらでも湧いてきますが、キリがないのでこの辺で。
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