82年にフルチ爺さんが同名のスラッシャーを撮っているので、その手合いかと思いましたが、ちと趣向が違っておりました。
クレイヴンの作品で言えば「エルム街」とか「ショッカー」と同じ箱に入るスーパー・ナチュラル系ホラーです。
「ウェス・クレイヴンズ ザ・リッパー」
(2010年/ウェス・クレイヴン監督)
マサチューセッツ州リヴァートン。
7つの人格を持つ殺人鬼リヴァートン・リッパーは身重の妻、主治医を惨殺。警官数名を刻んだ挙句行方不明。
同じ夜、早産で生まれた7人の男女。人呼んで“リヴァートン・セブン”。そして16年後。
クレイヴンの脚本が実に消化不良で文句は山ほど。
リッパーの多重人格を分離した7人の男女はいい感じにキャラ設定されているのですが、その他の人物がかなりおざなり。
特に16年前の逮捕に立ち会った刑事とハイチ出身の女性検視官がほとんどお話に絡まないのが勿体無い。
何より不満なのは殺人シーンの描写が極端に少ない事。
ほとんどの被害者が、既に殺された状態で発見。学園スラッシャーでそれはないでしょ。テレビじゃないんだから、そこはきっちり映してくれないと。
オープニングのリッパー不死身の大暴れが小気味良かっただけに後半の失速は残念無念。
とは言え、誰がリッパーの人格を宿しているのか(あるいは誰にリッパーが憑依しているのか)という推理は十分に物語を牽引していますし、この翌年の「スクリーム4:ネクスト・ジェネレーション」に比べれば遥かに楽しめる出来にはなっています。
※参考:「策士策に。スクリーム4:ネクスト・ジェネレーション」
→2012年3月30日