「ギムレットにはまだ早い」
よくカクテルの解説本でギムレットの項を見ると大抵「フィリップ・マーロウの台詞としてあまりにも有名な」という枕詞付きでこの台詞が載っていますが、ちょっと待てい! これはマーロウの台詞じゃないだろう。
説明不要かと思いますが出典は
「長いお別れ(The Long Goodbye)」
(レイモンド・チャンドラー著)
「ギムレットにはまだ早い」というのは、マーロウの友人テリー・レノックスの台詞です。プロのライターなら、ネタ元くらい目を通しておけよ。
ギムレットは、ジンとライム・ジュースをシェイクしたシンプルなカクテル。
テリー・レノックスの言葉によれば、
「ほんとのギムレットはジンとローズのライム・ジュースを半分ずつ、他には何も入れないんだ。マルティニなんかとてもかなわない」(清水俊二訳)
だそうです(村上春樹訳-写真下-と比べてみるのも一興)。
ローズ社のライム・ジュースは、甘味を加えたコーディアル・ライム。日本では明治屋のMy Limeで代用できます(生ライム搾って砂糖を加えるお店もあります)。
基本レシピは半々ではなくて、ジン45mlにライム15ml。レノックスのレシピで作ると物凄ぉく甘い代物になります。
ドライ化の煽りをくらって、甘味を加えないという人もいますが、やはり、ジンの苦味とライムの酸味と砂糖の甘味の渾然一体となった様がギムレットの魅力だと思うのですが、如何でしょう。
★ご参考