デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【犯人は叫んだ】スクリーム(2022年)【オリジナルに敬意を払え!】

血だらけの女『助けて!あいつに刺されたの!』

シドニー『どう思う?』

ゲイル『罠よ』

血だらけの女『FUCK YOU!』


流石レジェンド。ゲームのお約束「ルール」は熟知。

メタにメタを重ねた本作はお約束の佃煮。

多層構造を楽しみましょう。

「スクリーム」(2022年/マット・ベティネッリ=オルピン&タイラー・ジレット監督)

25年前に起きたウッズボローの惨劇(つまり1作目「スクリーム」)を下敷きにしてTVレポーターのゲイル・ウェザースが書き上げた小説を映画化した「スタブ」シリーズも数えて8作目(長寿シリーズだが最新作はコアなファンからは大不評)。

そんな中、ウッズボローに再び(いや三たび四たび五たび)ゴーストマスクの殺人鬼が現れる。


多くの場合、マスク殺人鬼は同一人物です。

ホッケーマスクの下はジェイソン・ボーヒーズだし、ハロウィンマスクの下はマイケル・マイヤーズだし、人皮マスクの下はトーマス・ヒューイットです。

この同一性が「キャラクター」となってシリーズ化を後押しするわけですが、ゴーストマスクは違います。

常に別人。殺しに哲学を持ったサイコキラーかもしれないし、ただのお調子者かもしれません。

更にひとつの作品でも中の人は複数。「犯人はひとりじゃない(かも)」は「スクリーム」のお約束。

この統一性の無さが、犯人捜しにヒネリを加えています。

犯人がひとりでないなら、アリバイにも意味がありません。逆にことさらアリバイを主張する人間は「怪しい」という事になるかもしれません。

本作はオリジナル創造者ウェス・クレイヴン亡きあと、とことんオリジナルに敬意を払ったファンのファンによる殺人の顛末を追ったファンフィルム(のようなの)です。

想定外の事は起きない凡庸な出来ではありますが、「スクリーム」に求めるものは全部ある、そんな感じ。

過去の遺産は無駄なく使った歩留まりの良い作品だと思います(初期3本のMVPである“映画オタク”ランディの姪が叔父譲りのホラー映画マニアとして出てくるのがいい感じでした)。


ランディの妹(ヘザー・マタラッツォ)は変わらないなぁ。


オリジンがレジェンドとして活躍するという意味ではジュラシックパーク/新たなる支配者」と同じ箱になりますが、あれよりは遥かに楽しめました。

シリーズ未見の方はまず1~4作目を観る事をお勧めします。

★仕切り直しの4作目はこちら。

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