隕石とクレーターと行方不明者の国オーストラリア。
世界で2番目に大きいクレーター「ウルフクリーク・クレーター」。
直径880メートル、深さ約60メートル。
衝突した隕石は推定直径約15メートル、重量ざっくり17万トン。今からおおよそ12万年前の更新世にインパクト。
このウルフクリーク・クレーターを中心に広がりたいだけ広がっているのがウルフクリークメテオライトクレーター国立公園。
番人はミック・テイラー。お茶目でサイコな殺人狂。
「ウルフクリーク 猟奇殺人谷」(2005年/グレッグ・マクリーン監督)
順番逆になってしまいましたが、以前ご紹介した「ミック・テイラー 史上最強の追跡者」の前日譚です。
車で大陸横断中のベンとリズとクリスティ(ベンはオーストラリア人、リズとクリスティはイギリス人バックパッカー)。
運悪くウルフクリーク国立公園で車いかれて立ち往生していたら、運良く通りかかった気のいい現地人ミックがMay I help yoy? お言葉に甘えて修理道具のあるミックの家まで牽引してもらう事にしましたが…。
あとはまあご想像の通りの展開です。
ドキュメンタリー・タッチで撮られていますが、大自然美しく、室内気色悪く、絵面の構成が実に映画的。
逃げ切ったと思ったら断崖絶壁。
小屋の中に穿たれた絶対に覗いてはならない穴。
ミックが恐らくチューンナップしているであろう車で一気に距離を詰めて来る所とか完全にマッドマックス(オーストラリア映画の誉れを上塗り)。
個人的に目を引いたのは、リズがニックの作業倉庫のような所で発見した銃。
バレル(銃身)上部のベンチレーテッドリブと呼ばれる四角い穴が開いた放熱システムはパイソンの特徴ですが、シリンダーラッチがS&W。
おっとそいつはスマイソン?
“スモルト”あるいは“スマイソン”は、1970年代から80年代にかけて、当時精度に優れるとされたコルトパイソンのバレルを、優れた操作性を持つS&Wモデル19のフレームにねじ込んだPPC競技用カスタムリボルバー。
パイソンとM19はデザインの親和性はばっちりですが、機構は水と油。
シリンダーの回転方向は逆だし、シリンダーラッチはM19は押すタイプですがパイソンは引くタイプ。ライフリングの回転方向も真逆なら、バレルとフレームに刻まれたねじ山まで逆。つまり、M19フレームにパイソンバレルをねじ込むには、どちらかのねじ山を削り落とし、新たなネジを切る必要があるのです。
こういった工程を、バレル/フレームの双方に傷をつけることなく精妙かつ美しく仕上げるには、優れたガンスミスの力を借りなければなりません。
そんなものがこんな所に!
ただ、この銃、バレル上部のベンチレーテッドリブが5つあるんですよ。
「パイソンハンター」と呼ばれる最もロングバレルな8inchでも穴は4つ。
これってつまりスモルトを模したプロップガンという事なんでしょうねえ。
結局、リズはこの銃を1発も撃つことなく、取り落としてしまうのですが、まあ、撃てない事情があったのでしょう。
本作を観たら是非8年後のパワーアップ・ミックの雄姿を拝んでください。
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