デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【正論だけど】ロード・インフェルノ【狂ってる】

『悪かった!もう二度としないから!』

『謝罪のタイミングを逃したな』
(The time for apologies is behind us.)

追い越し車線を制限速度きっちりで走行している(急いでいる人にとっては嫌がらせ以外の何者でもない)車を煽って追い越しざまに挑発したら関係者一同エライ目に。

ん?これちょっと前に観たラッセル・クロウの「アオラレ」(2020)と同じ話じゃね?と思ったら、「アオラレ」は本作(オランダ映画)のリメイクなんだそうで。

何だ、こっちがオリジナルか。

「ロード・インフェルノ(2019年/ロードヴェイク・クレインス監督)

酷い邦題です。ジャケとか見ると《アオラレ100倍返し、車間距離ゼロ、悪魔の追跡》みたいなものを想像しちゃいますが全然違います。


冒頭、必死こいてチャリ漕いでいるお兄ちゃん…を景気よく跳ね上げる白いバン。

足をやられて道脇を流れる川まで転がり逃げる兄ちゃんを尻目にバンのおっさんがゆっくり降車。


車の周りにコーン置いて、害虫駆除用と思しき液剤準備。白い防護服にマスクをつけて噴霧器片手にまったり追撃。


川に隠れている兄ちゃん見つけて引きずり倒すと掴んで沈めて。

謝罪懇願する兄ちゃんの口に噴霧器の先端をこじ入れて…。


ここまでがアバン。おっさんのヤバイ性格と武器(?)をド頭で見せてしまうのは好みの別れる所かもしれませんが、掴みはOKです。

本作の主人公は小心者のくせに見栄っ張り&意地っ張りな男ハンス(ユルン・スピッツエンベルハー)。

口うるさいカミさんと拡声器のようにやかましい娘二人を乗せて実家へGO!(ボケた父親の誕生祝い)。


神経質な母親の機嫌を損ねないよう時間厳守で向かいたいのにカミさんダラダラ、娘キャーキャー。

携帯からはひっきりなしに母親から「まだかまだか」「今どこ?」「あと何分?」。

なのに目の前には制限速度厳守な白いバンが…。

この種のお話のオリジンはスピルバーグの(と言うよりリチャード・マシスンの)「激突」。トレーラーの運転手が見せたのは窓から出た腕1本。目的も性格も顔すら分からない不気味さがスリラー指数を爆上げしておりましたが、こっちのおっさんは喋る喋る。

そして言っている事はド正論。その正しさが逆に性格異常を際立たせるという巧い構成でした。


エンタメとしてお約束の着地をした「アオラレ」も良かったですが、B級のお約束を守った本作の方が印象深くはありました。

 

ラッセル・クロウのリメイク版はこちら。

 

 

 

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