
お話の骨子は良く出来ていると思います。短いながらも二転三転しますし。
この監督さんにこのお話を脚本に落とし込む技量が、そして画にする力量がなかった事が悔やまれます。
「ツイステッド・マインド」(2019年/ジェームズ・ペンテコスト製作・脚本・監督)
孤児院で問題児だったトルーディとジェイミーが、中年銀行員ブルーノを誘拐して(とある牧場の納屋に)監禁。

目的はブルーノの腹違いの兄ティルニーの行方を吐かせる事。
ティルニーは孤児院でトルーディに性的虐待をした(そしてジェイミーもされたと主張する)男。つまりトルーディの復讐です。
しかし、ブルーノは兄の居場所など知らないと言う。それどころか警察のデータではティルニーは既に死んでいるらしい。
誘拐に使った盗難車に二人の指紋がベタベタついていたので、ダンカー&バロウズの刑事コンビはあっさり犯人を特定。
「虐待は無かった」と言う孤児院(既に閉鎖されている)の院長、怪しげな情報提供者、不正な財務記録、ジェイミーと繋がっているトルーディの知らない第三者が入り混じって…。
ティルニーは本当に死んでいるのか? 消えた孤児院の金はどこに? ブルーノは本当に勘違いで攫われてきた無関係者なのか? 裏で誰と誰が繋がっているのか? ってな謎を孕んでいくのですが、整理も描写も下手なので一向に盛り上がりません。
実は監督が幼馴染でさぁなくらい好意的な目で見れば、「レザボアドッグス」的な事をしたかったのかなぁと思えなくもないのですが、兎に角、二人の誘拐計画同様、脚本がザルすぎで。
口を割らせるとか言いながら、トルーディがたまにイキりながら棒で殴る程度。そりゃブルーノも口を開くたびに『何が望みだ!?』って聞きたくなるでしょう。

ジェイミーは『あいつ(ティルニー)は必ずここにやってくる』とか言っていますが、腹違いの弟がそこにいるって何でティルニーは知ってるんだよ!? 新聞の尋ね人欄に広告でも出したのか?
んで何より不満なのが「監禁のリアリティ」が皆無なこと。
刑事の聞き込み描写から判断するに、監禁の期間はそこそこ長い(少なくとも一晩二晩の話ではない)はず(その間、常時両手拘束)。にも拘わらず「排泄」の痕跡・形跡がどこにもありません。
毎回戒め解いて母屋のトイレに連れて行って排泄させてたのか(何ならケツも拭いてやってたのか)?
ついでに言うと被弾のリアリティもありません。

銃で撃たれて(ブルーノもジェイミーもパニクったトルーディから1発ずつもらっている)そんなに元気な訳ねーだろ。貫通した様子もないのに弾抜かないし、消毒も酒かける程度だし。
ここいらへん、予算とは関係ないので、ちゃんと書いてちゃんと撮れば、普通に面白い作品になったと思います。
監禁モノは得意なジャンルではないのですが、なんともすっきりしないので、特別企画「監禁映画選手権」を。
初見時の衝撃ナンバーワンは「マーターズ」(勿論、仏版オリジナル)。
狭いレンタルスペースでのプロジェクター試写会だったので、本物のスナッフフィルムを観ているような(あるいは場末の温泉街でブルーフィルムを観ているような)気分でした。
「マーターズ」の監禁には宗教的・哲学的(?)な根拠のようなものがありましたが、突発的・直情的恋愛妄想に基づいていたのが「ラブド・ワンス」。
父と娘、魂の協力プレイ。
監禁からの解放は死神の召喚だったという北村龍平監督のハリウッド映画「NO ONE LIVES」。
〆は世界の黒沢監督にお願いしましょう。「蛇の道」(勿論、オリジナルの方)

優勝は「マーターズ」(しつこいようですがオリジナルの方)ですね。
ちゃんと排泄もサポートしていますし。

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