デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

やはりアメリカ人には無理だったか…。 リメイク版マーターズ

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別にオリジナル「マーターズ」が崇高な作品であったなどと言うつもりはありません。
 
ありませんが、突き抜けた残虐性、理不尽な暴力、予測不能な展開、バタイユに材をとった神秘主義的な思想性、そして何より徹頭徹尾な不快感は正に“衝撃”の一言でした。
 
何せ本作を3度に渡って取り上げているのがその証左。
 

意味は犠牲者・殉教者・証言者。 マーターズ[MARTYRS]

  ↑あらすじはココ参照。
 
それがアメリカでリメイクされると何故ここまで腑抜けになってしまうのか。
 

マーターズアメリカぬるま湯リメイク版)」

2015年/ケヴィン&マイケル・ゴーク監督)
 
立ち上がりはオリジナル同様、ではありますがリュシーとアンナの幼少時代に尺割き過ぎ。リュシーが見る幻影もまるで怖くありません。
 
リュシーが自分を監禁していた人間の家を突き止めるきっかけ部分をカットしているので襲撃シーンが超唐突。
 
後半はオリジナルの展開を見せます(そのこと自体は別に悪いことじゃありません)が、もう文句満載
 
最初に集まってきたカルト教団の信者たちがレッドネックの労働者ばかりってのはどういう事だ?! ここは金にモノ言わせて人を人とも思わない上流階級の人間が集まってくるところがいいんだろ。
 
マドモアゼルも何か半端に若い・安い・威厳無い、な人になっちゃってるし。


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左が本作のマダム。右がオリジナル・マドモアゼル。
 
オリジナル一番のショックと言える“鉄仮面女”が出て来ない…にも関わらずキービジュアルに鉄仮面女を使っている。これじゃポスター詐欺だろう。
 
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出て来ないキャラをキービジュアルにすな!(左右はオリジナルマーターズ

細かい事言うと、監禁された女達が服着てるの変だろ。何のために椅子の座面に穴が開いていると思ってるんだ。
 
そして、本作最大の変更点である犠牲者交代のキャンセル。オリジナルの不条理さが消し飛んで、スカッと爽やか復讐劇に。


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左:西部劇ばりに勇壮果敢なアンナ。右:理不尽の嵐に晒されるオリジナルアンナ。
 
全身皮剥ぎもカット。あの程度の施術で“向こう側”の世界が見える訳ないだろ。


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左:中途半端な施術で誤魔化す本作。 右:芸術の域に達している全身皮剥ぎ。
 
教団の目的の説明もいい加減だし何もかもが中途半端。脚本書いたの「モーテル」のマーク・L・スミスか…。
 
マイルドに改変するくらいなら問題作には手を出すな。

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