『止めに来たよ先輩、いや…探偵』
『殺しに来たよ吸血鬼』
10年前、眷属を作れなかった吸血鬼と吸血鬼になれなかった女子高生。
邂逅はハロウィンの夜。思い出の文芸部部室で。
「よふかしのうた Season2/第10話・せめてお前に」(2025年9月5日フジテレビ放送/武藤信宏演出)
自分の家族を奪った吸血鬼を根絶する、その衝動に突き動かされて(依存して)10年。探偵・鶯餡子こと目代キョウコが遂に実力行使。
ハロウィンの夜、衆目の中で平田ニコに発砲(得物はM29)。返す刀で桔梗セリにも1発。
勿論、銃で撃たれたくらいで吸血鬼は死にません。人混みで1発撃ってトドメも刺さずに逃走(ピンポンダッシュだ!)。
殺せないのに人混みで拳銃ぶっ放すメリットは何だ? 探偵さんの真意を読もうとする夜守。
『話をしにきた』というナズナの右目にマグナムをお見舞いし『14歳の少年はやめておきなよ』と諭すキョウコ。
ナズナの答えは『コウくんは私と生きるんだ!』
キョウコの答えは『先に夜守くんから殺す』。
『お前が弱いのが悪いんだぞー七草。お前のせいで夜守くんは死ぬんだ』
今、学校にいる、というメールを打って夜守を誘い出すキョウコ。
そのメールを(街中で平田ニコと歩きながら)受け取った夜守は突然走り出し…。
『どうしたんだ夜守くん!? 何があった!?』
『分からない。分からないけど…早くしないと、探偵さんが死んじゃう!』
夜守を殺すための誘い出しメールを受け取った夜守が探偵さんの身を案じている?
探偵さんは夜守くんを呼び出してなぞいませんでした。
探偵さんが夜守に送ったのは「遺言」。
2人がいそうな場所を探して辿り着いた高校の体育館。夜守の姿に一番驚いていたのは探偵さん。
目代キョウコは最初から「死ぬ気」でした。この世ならざる死に方をする。その瞬間の映像を残して吸血鬼の存在を白日の下に晒す。
吸血鬼の存在を恐れた人間は夜出歩かなくなり、食料を失った吸血鬼はやがて餓死して死滅する(吸血鬼は10年血を吸わないと灰になって消滅する)。
そんな都合のいい計画がうまくいくはずがない…というのは探偵さんも分かっている。それでも静かな夜を取り戻したかった。
『夜は…静かな方がいい』
何と言う稀有壮大な計画。でもねえ…。
この計画がうまくいくはずがない、という(探偵さん夜守くん双方の)根拠は「(1年2年だって怪しいのに)10年もの永きに渡って人が吸血鬼を恐れ続けるわけがない(すぐに風化して元に戻る)」なのですが、これすらもあり得ないでしょう。
仮に吸血鬼の存在が公知になったらどうなるか? 吸血鬼を恐れて隠れる? んな訳ゃないじゃないですか。
知らないもの、怖いものに対する人間の反応はひとつ、「排除」です。「魔女狩り」です。
「亜人」です。「東京喰種」です。「ブルークリスマス」です。白石監督版「仮面ライダーBLACK」です。
待っているのは差別と迫害。行きつく先はここ👇牧村邸です。
まあ、結果的に吸血鬼は根絶やしにされ、探偵さんの願いは叶うのかもしれませんが、地上は中世末期に逆戻りするでしょう。人間は「よく分からないもの」を無条件で受け入れる事が出来るほど牧歌的ではありません。
夜守くんに計画を指摘され、望みが潰えた探偵さんは「ちょっと疲れた」と言い残して外へ。
一件落着を喜ぶナズナと夜守くんですが、探偵さんの様子が気に掛かり後を。
探偵さんは自殺しようとしていました。復讐心だけに支えられた10年に疲れたのか、吸血鬼の蛮行(ナズナの人間とは思えない動きと力)の映像証拠があるのだとしたら、別に自分の死は吸血鬼の凶行でなくても構わない、証拠が発見れる引き金になればいい、と思ったのか。
いずれにしても夜守くんの想いは「ナズナちゃんの友達を死なせたくない」。間一髪、自殺阻止には成功しましたが…。
『や、夜守くん…!?』
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