迷いの無い男は美しいですねえ。
「人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊」
(1968年/小沢茂弘監督)
鶴田浩二、松方弘樹、梅宮辰夫、池部良・・並べてみれば見事な東映印。
感じたのは「距離の取り方」。
客に媚びず、いらんハッタリをかまさず、無駄な説教もせず、過剰に思い入れることもしない。しかし、程よいドラマ演出はある。
回天での出撃の決まった松方弘樹が郷里の両親に「挨拶」に行き、飲めない酒を父(志村喬)にせがんだ瞬間、別れを悟る父の表情がいい。
度重なる上申却下にも関わらず回天の導入を主張して止まない鶴田浩二と松方弘樹。
安いヒューマニズムの入り込む余地のない「男の世界」には静謐さすら漂っています。
途中、「エグゼクティブ・ディシジョン」な展開があって驚きましたが、後で調べたらこのエピソードは実話のようです(ネタバレになるので気になる人はビデオで確認してください)。
あ、もうひとつ。昔のドラマにはガキが出てこない。この差はデカイ。