もし、「うる星やつら」のラムちゃんが宇宙人でもなんでもなく、ただの詐欺師だったら、という「何でそんな事思いついちゃったんだ?」な発想をモチーフにした押井魂炸裂のOVA。
「御先祖様万々歳!」(1989-90年/押井守監督)
17歳の高校生犬丸の家庭がひとりの闖入者(犬丸の孫だと言い張る未来人の少女)によってガラガラと崩壊していく、というのがお話の骨格。
『私の名前は四方田麿子。父の名前は犬麿、父の父の名前は犬丸、初めましてお爺様、孫の麿子でございます!』
SFっちゃあSFなんでしょうが、SF的小道具は一切登場しません。タイムマシンもコダックの飛行船ですし。「うる星やつら」が絵で処理したことを言葉だけで突破しようとしています。
台詞は全て小劇場舞台劇。
『既に四方田家は非日常的空間に突入しているんだ。もう今までの理論的なホームドラマは通用しないんだよ父さん。これからはたとえ親子と言えどもギリギリの人間性を剥き出しにして互いの欲望をぶつけあうヘビーなドラマが始まるんだ!』
『貴様ぁ、実はこの事態を面白がってるな、楽しんどるな、そうだな!』
確かに、楽しんでます、声優と演出が(特に音響監督の千葉繁が)。