10月スタートアニメの私的注目度一番はリメイク版「うる星やつら」。
特報を見る限り、声優陣は皆いい感じ。恐らくどのキャラも違和感のないアテっぷりを見せてくれるのではないかと思います。
旧作との大きな違いは「原作準拠」。
選りすぐった原作エピを4クール(思い切ったなぁ…)に渡って放送するそうです。
つまり、旧作を傑作たらしめていた「押井守」「伊藤和典」「千葉繁」的要素は綺麗に排除されるという事に…。
実際、公式HPにはメガネは勿論、チビもカクガリもパーマも存在しておりません。
原作者及び原作ファンには歓迎すべき事態ではありますが、旧作ファンからするとちっと寂しい。
という訳で、本日は恐らく新作では観ることのできない押井全開メガネ満開なスラップスティック旧作エピをご紹介。
「うる星やつら/第64話・さよならの季節」(1983年3月23日放送/脚本・絵コンテ・演出:押井守)
原作の「あたるの引退」に対応していますが、あちらはあたるが「うる星やつら」の主人公を引退する、というメタな1発ネタ。
押井はこの「引退発表」というシチュだけを取り込み、メガネを主役に据えてハチャメチャ活劇に換骨奪胎してしまいました(こういう事するから原作者に嫌われたんだろうなぁ)。
放課後、真剣な表情でメガネを呼び止めるあたる。
連れ立って行ったのはデパート屋上のアトラクション広場。たこ焼き喰いながら切り出したあたるの話とは…。
『身を引く!?』
自分が置かれた異常な状況からきっぱりと身を引きたい。ついては後継者をメガネに頼みたい、と。
誰が聞いても「ラムと別れるから後のことはよろしく」と聞こえます。
明日は日曜日だが午後から補習がある。これが終わった所で皆の前で宣言する。
『やったぁあぁぁあ! 遂に俺にも陽の当たる時が来たんだ!どんなに、どんなにこの日を待ち続けたことか!ラムさんは、ラムさんは明日からこの俺のもんじゃ!』
この会話を偶然聞いてしまったのがしのぶ。一大事なんてもんじゃない。もし、あたるが本気でラムと別れる決心をしたのなら…
『クラスの人間関係が根底から覆されることになる。そしてフリーになったラムへの最短距離にいるのは…』
勿論、面堂終太郎。それだけは、絶対阻止しなければ。
しかし独りでは手が足りない。しのぶのエマージェンシーコールに呼応したのは、仏滅女学院のナンバー2、赤口学園のナンバー1、そして無血クーデターで三隣亡学園のナンバー1になったけつねコロッケのお銀と各校の配下たち。
『ほかの女ならいざしらず、宇宙人の鬼娘に面堂くんを渡したたとなったら』
『あたしたちいい笑いもんになるわね』
スケバン連合が大同団結。目的はただひとつ、諸星あたるの登校阻止。
年齢不詳な高校生、ウンババの鉄とフランケン1号2号に拉致られる諸星。
その様子を望遠鏡で凝視しているメガネ。
『これを使う日が来ようとはな…』
廃車置場に連れ込まれたあたる。助けに現れた謎のヒーロー(勿論メガネ)。あたるを逃がすと並み居る敵に単身突撃。
まるで「野生の証明」のラストカットのような1対すげー数の掃討戦。
『この日の為に徹夜で作った重モビルスーツよ、わが命守り給え!オンマリシエイソワカ!』
カット変わって補習。そこには満身創痍を余裕でオーバーランしたボロッボロのメガネが。
終了の合図と同時にあたるが重大発表を予告。予定通り「きっぱり身を引かせてもらう!」宣言。
色めき立つ教室。我こそ後継者とラムに殺到する男子生徒。勝手に別れ話を進められたと泣きじゃくるラム。騒然。
『待て、俺の話を聞け! いつ俺がラムと別れると言った!?』
あたるが身を引くと言ったのは「学級委員長の栄えあるポジションから」という意味でした。
最早、誰が学級委員かなど誰も覚えておらず、呆れて撤収するクラスメイト。
後には真っ白に燃え尽きたメガネと「止めるなら今だぞ!」と絶叫するあたるが残されたのでした。
雪崩式に話が大きくなり、勘違いが一大アクションに発展して、腰砕けのオチで終わる。
正に旧TV版「うる星やつら」の鉄板フォーマットなエピでした。
原作はこんな👇感じ。
おまけ
あたるの重大発表前夜。メガネは自宅の屋根の上で拡声器を手に歓びの咆哮をあげておりました。
『俺は今強烈に感動している。この俺を燃え上がせるものが神の摂理ならば、いや、たとえ悪魔の奸計であろうとも、俺は、俺はこの血の最後の一滴までも、その前に捧げ尽くすだろう。ああ、誰か知る百尺下の水の心!ラァァムさぁぁん!』
このキャラがいなくなるのは本当に惜しい。
★こちにもどうぞ。
★登場人物2人だけでアンジェイ・ワイダにリスペクトした異色作。
★本日9月29日はスタンリー・クレイマー監督(2013~2001)の誕生日。
激渋なSFとアクションをどうぞ。
★ついでに…本日9月29日は「クリーニングの日」。
「ク(9)リーニ(2)ング(9)」と読む語呂合わせ。1982年(昭和57年)に制定。
コインランドリーばっか行かないでクリーニング屋利用しろよ、という事のようです。
クリーニングと言えば、鳴り物入りで放送された割には出来が今ひとつふたつみっただったこんな作品が。