本日9月30日は「世界翻訳の日」。
日付はキリスト教の聖職者・神学者で、聖書をラテン語訳したことで知られるヒエロニムス(347年頃~420年)が亡くなった日に因んでいるんだそうです。
映画で翻訳と言えば字幕(吹替に関してはまた別の機会に)。
字幕と言えば、名訳・迷訳、そして誤訳。
個人的名訳一番は「過去のない男」(2002年/アキ・カウリスマキ監督)。
主人公が暮らすコンテナハウスに電気を引き込んでくれた技師との会話。
『お礼に何を?』
『俺が死んだら情けを』
ハードボイルド映画のようなやりとりにグッときてしまいましたが、元の台詞はかなり長文。
原語はフィンランド語ですが、恐らくこれを忠実に訳したであろう英語字幕は、
「What do I owe you?」
「If you ever find me face down in the gutter,turn me around to my back」
『もし、俺がドブの中でうつぶせになって死んでいるのを見つけたら、ひっくり返して仰向けにしてくれ』
これをググッと煮詰めて『俺が死んだら情けを』と訳す。字幕翻訳者天才だと思います。
アクション映画で真っ先に思いつくのは「ダーティハリー4」(1983年/クリント・イーストウッド監督)の名台詞。
『Go ahead, Make my day』
こちらは逆に短すぎて訳すのが大変な台詞だったのではないでしょうか。
大股広げて意訳すると
『どうした、撃ってみろよ。そうしたら俺も遠慮なくこのマグナムでお前の頭を吹き飛ばしてやる。脳みそまき散らして俺の晴れの日を祝ってくれよ』
ってな感じではないでしょうか。
翻訳にはいくつかバリエーションがあったと思いますが、劇場公開時の字幕は、
『さあ、撃たせてくれよ』
だったと記憶しています。簡にして潔。見事な翻訳でございます。
字幕バリエーションの数々。
名訳か迷訳が判断つきかねますが「ある愛の詩」の「愛とは決して後悔しないこと(元の台詞はLove means never having to say you're sorry)」は(前後の会話と全く嚙み合っていないという意味で)素晴らしくも微妙な翻訳だと思います。
さて、誤訳(手抜き含む)ですが、こちらは「誤訳の女王」の仕事を筆頭にわらわらと。
列挙するだけですごい量になってしまうので、細かく突っ込んだ過去記事を代表で幾つか貼らせて頂きます。
★ご参考
★本日のTV放送❶【19:45~BS12】
★本日のTV放送❷【25:50~フジテレビ/ミッドナイト・アートシアター】
タイミングの良い放送だなぁ…。