デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

SFか、アングラか。 未来惑星ザルドス

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乳出し惜しみ無し!

未来惑星ザルドス

(1974年/ジョン・ブアマン監督)


この寓意と風刺に満ちた哲学的SFを前にして乳しか浮かばない自分が誇らしい。

難解と言われてますが、お話は簡単。不老不死の理想郷が「死」によって解放される。

ザルドスとは理想郷ボルテックス4の住人が外界の獣人(単なる貧乏人)を従属させるために作った空飛ぶ仏頭

不老不死の代償に情熱も性欲も喪失したどん詰まりの理想郷にフェロモンムンムン、胸毛ボーボーな獣人撲殺隊の隊長ゼッド(ショーン・コネリー)が侵入したから、さあ大変。

死の無い世界に生は無し、という二元論をブアマンが妄想全開で映像化。

当時のチラシには「製作費1200万ドル(36億円)路線の大作として・・(中略)・・ことに特撮技術をこらした未来惑星の大胆なセットはドギモをぬく華麗さで」なんて事が書いてありますが、DVDのコメンタリー聴くと「制作費は100万ドル」「家の近所で撮影」「全て実写でCGはもちろん特撮は一切使ってない」というワンダフルな解説が。

古い農家を近未来っぽく見せるために付け加えた特殊プラスチックのオブジェがどう見ても巨大なコンドームにしか見えないのですが、確信犯でしょうか。

ベートーベンの交響曲第七番と共に、コネリーとシャーロット・ランプリングが老い、朽ちていくラストの1カットには何故かさめざめと泣きました。