予てより8月15日のレビューはこの作品にしようと心に決めておりました。
「日本のいちばん長い日」(1967年/岡本喜八監督)
ポツダム宣言受諾と玉音放送にまつわる24時間。喧嘩を始める時に比べ、終わらせるのが如何に難しいか。
「もうあと二千万、日本人の男子の半分を特攻に出す覚悟で戦えば、必ず、必ず勝てます!」(大西海軍軍令部次長)
「勝つか負けるかはもう問題ではない。日本の国民を生かすか殺すかなのです」(東郷外相)
「多くの兵がなぜ死んでいったのだ!みんな日本の勝利を固く信じていたからではないのか!彼らにはなんとしても栄光ある敗北を与えねばならん」(阿南陸相)
「天皇がやめろと言われるからやめる。聞こえはいいがこれは一種の責任逃れです」(井田中佐)
「あらゆる手続きが必要だ。儀式と言ったほうがいいのかも知れない。何しろ大日本帝国のお葬式だからね」(下村情報局総裁)
2時間30分の大半を台詞が埋めているというのに一瞬たりともダレる事がありません。張りつめまくった空気に肩が凝るほどです。
最近の青春映画だか戦争映画だか分からないおととい栓抜いたコーラみたいな代物を見ていると悲しくなります。今、きっちり腹を切れる男優がどれだけいるのでしょうか。
「せ、せめて介添えを!」 「無用だ…あっちへ行け!」
三船敏郎、格好良すぎ。