「涙か。強い男は泣くことを恐れない」
「おじさんは泣かないの?」
「泣ければね。涙を出す所が壊れてしまった」
そんなルドガー・ハウアーがラストには・・・。なんだ、てっきり座頭市の設定をパクったバッタもんだと思ってたのに、ちょっと泣けちまったじゃないか。これは拳銃を刀に持ち替えた「シェーン」です。
「ブラインド・フューリー」(1989年/フィリップ・ノイス監督)
ベトナム戦争で戦死した男ニック(ルドガー・ハウアー)。しかし、彼は生きていた。視力を失い、ベトコンに助けられ、居合の達人となって。
20年後、ニックが訪ねた戦友はちょっとしたトラブルに巻き込まれてました(「グロリア」とか「レオン」のパターンですね)。
まあ、ベトコンが居合ってどうよ?とは思いますし、いくらルドガー・ハウアーが頑張ったって勝新の殺陣と比べたら大人と子供、運動会とオリンピックくらい差があります。
でも、戦友との友情、禍根と再生、戦友の息子とのふれあいと絆など広げた風呂敷はきっちり回収していますし、ショー・コスギとのソード対決は、かつてのブルース・リャン対倉田保明を髣髴とさせてナイスです(死に方がマヌケですが)。
描写として中途半端な所は多々ありますが、少なくとも「たけし版座頭市」よりは遥かに面白いと思います。