ラスト・シーン以外は綺麗すっぱり忘れておりましたが、再見して納得。
ラスト以外に記憶に留めておくべきシーンなぞビタ一文ありませんでした。
ほぼ全てが無駄肉。意味の無い会話。キレの無い演出。しかし、これこそが80年代。
「コブラ」とセットで押さえておきたい時代の徒花。
「WANTED/ウォンテッド」(1986年/ゲイリー・シャーマン監督)
ゲイリー・シャーマンは「ゾンゲリア」(1981)「ザ・モンスター」(1982)という快作を放った人なのですが、なんざんしょ、この風呂で屁をこいたようなへっぽぴーな演出は。
ニック・ランドル(ルトガー・ハウアー)はバウンティ・ハンター。
「拳銃無宿」でスティーヴ・マックイーンが演じたジョッシュ・ランドルの孫という設定らしいのですが、激しくどうでもいいです。
事務所はだだっ広い倉庫(「フラツシュダンス」の影響モロ被り)、自宅は港に係留したクルーザー。That’s 80’s!
今回のターゲットは因縁浅からぬアラブの爆弾テロリスト、ラヒム(「未来警察」に続いてテロリスト役が板についたジーン・シモンズ)。
依頼人はFBIですが、合同捜査に当たっているCIAにソリが悪いにも程がある元上司がいて、ランドルの行動を度々妨害。これが実にウザい。
FBIとCIAと市警とルドガーの小競り合いなんかどーでもいいのよ。
ジーン・シモンズの狂気に眼が行かなくなるので、ストーリー上の遮蔽物でしかありません。
恋人との会話がまたウルトラ空っぽ尺伸ばし。どうせお前は復讐心を掻き立てるためだけの捨て駒なんだからとっとと殺されちまえ!と思うこと暫し。
カーアクションも銃撃戦も中途半端でスピード感ゼロ。警察側の馬鹿っぷりに、段々ジーン・シモンズを応援したくなってきました(笑)。
ルトガーも小遣い稼ぎ程度の認識だったのか、肉体に緊張感無し。もうちょっと絞っとけよ。爆弾工場の側面よじ登るカット、絶対吹き替えだろ。
本人(監督&ルトガー)はビシッと決めたつもりかもしれませんが、失笑を禁じえないカット多数。
そんなこんなを含めて時代の雲気を楽しめる方にはお薦めの1本です。
※参考:「このちょぼさが堪らない。 未来警察」→2009年7月10日
「俺が薬だ! コブラ」→2011年7月24日