祝!文庫化。見よ!サイバラの底力。 ぼくんち
「泣いたら世間がやさしゅうしてくれるかあっ。泣いたら腹がふくれるかあっ。泣いてるヒマがあったら、笑ええっ!!」
全編泣き笑い。ここは海辺のどですかでん。
「ぼくんち」(角川文庫/西原恵理子著)
最近、私生活を何の芸も無く垂れ流して喰ってる女性漫画家が多くて大変不快です。
旦那が外人、ただそれだけの日常とか旦那が精神病、ただそれだけの日常とか(後者は不幸自慢だったのが今や幸せ自慢になってるし)・・。
外人夫との楽しい日々とかはチラシの裏にでも書いててください(電車のモニターにまで侵出してきて実に不愉快)。
鬱病は洒落にならない病気ですが、ネタにしていいのは鴨ちゃん(鴨志田穣。西原の夫。ヤク中・アル中・躁鬱病・癌で壮絶死)クラスから。
サイバラも日常をネタにしてますが、この人の凄い所は思い出したように人の涙腺ほじくり返す「涙のカツアゲ」作品をポロっと出す所。
たまにページ合わせで、日常切り売り下品お笑い短編集の中にこの手の「掌編」が挟まってたりして、ほとんど地雷。
うっかり立ち読みなんかしようものなら「不意打ちかよ。わ、やべ、涙が・・くっそー」ってな事になって大慌てで本屋を出る羽目になります。
やはりきっちりとしたストーリー物が描けない漫画家は駄目っす。
「ぼくんち」は文藝春秋漫画賞をとったサイバラの代表作。電車の中で鼻水が止まらなくなって困りました。自宅でひとりで読む事をお薦めします。
文庫化は喜ばしいですが、この薄さで「上」「中」「下」ってのは商売が過ぎるんでないかい角川さん。
※関連:「できるかなV3」→2008年3月6日