デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

待つこと8年。 アル中病棟-失踪日記2-[吾妻ひでお]

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現実逃避の実践バイブル「失踪日記」から8年。

待ちに待った続編が刊行されました。

「アル中病棟-失踪日記2-」イースト・プレス発行/吾妻ひでお著)

奥付を見ると10月10日1刷で25日には5刷! 如何に続編を待ち望んでいた人が多かったか分かります。

漫画家・吾妻ひでおが、締め切りその他の現実を全て投げ出して失踪、路上生活者として生き抜き、現実社会に帰還したものの連続飲酒からアルコール中毒、鬱、幻覚、自殺未遂という全く以って洒落にならない話を無理やり洒落の枠内に押し込んだ失踪日記

自らの恥部を切り売りするこの実録漫画は、家族に羽交い絞めにされてアル中病棟に強制入院させられた吾妻と愉快な仲間達との交流序盤で幕となっておりました。

ようやく続きが読めるというわけです。

締め切りという足枷の無い状態で描き足されていった原稿は(とり・みきとの対談ページを含めて)335ページ。大作です。

日誌風に淡々と日々の雑感が綴られていくので、起承転結も盛り上がる展開もありません。

アル中病棟の日常が事細かに綴られているので、これから入院する人にとっては心の準備を兼ねたマニュアル本となるでしょう(この辺りの立ち位置は花輪和一の「刑務所の中」と一緒)。

西原理恵子もそうですが、普段、小さいコマに細かい絵や文字をみちみち描き込んでいる人がふと挿入する1枚画には息を呑むものがあります。

突然開ける視界。ある時は神の視点で、ある時は人間の目線で。世界はこんなに美しかったのか、という驚き。

中島らもの「今夜、すべてのバーで」、鴨志田穣西原理恵子元夫)の「酔いがさめたら、うちに帰ろう」と並ぶ“三大アル中物語”。

未読の方は是非「失踪日記」とセットでお買い求めください。