デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ただ表層を複写しただけの再現ドラマ。 毎日かあさん

イメージ 1
ううむ。間合いと勢いが心情のサイバラ漫画をよくぞここまでグタグダなテンポに。

毎日かあさん」(2011年/小林聖太郎監督)

昨日御紹介した「酔いがさめたら、うちに帰ろう」の視点違い。合わせ鏡の双生児、なのですが…。

表現、リズム、全てが駄目。映画と呼ぶのも憚られるバラエティの再現ドラマ。

監督さんは上岡龍太郎のご子息だそうで。

うっかり本屋で立ち読みして号泣しそうになり、慌てて店を走り出たカモちゃんエピを、どこまでもどこまでも表層的になぞる・・怒りを通り越して呆れ返ってしまいましたわ。

漫画エッセイを映画に解体・再構築する構成力が監督にも脚本化にもビタ一文ありません。

比べる事に何の意味もありませんが、永作×浅野×東監督の圧勝です。

こちらのカモちゃん役は永瀬正敏。浅野×永瀬と言えば「五条霊戦記」「ELECTRIC DRAGON 80000V」と因縁浅からぬ間柄(浅野くん、「濱マイク」にもゲストで出ているな)。

何か巡り合わせがあるんでしょうね。

ついでに触れておくと、アシスタントの愛ちゃんも、“顔が本人に似ている”“きっちり色塗りのテクを披露している”の2点に於いて「酔いがさめたら~」の市川実日子に軍配(「毎日」は田畑智子)。

キョンキョンサイバラっぽく見せようとそれなりに努力をしているようでしたが、結局は漫画の台詞を反芻しているだけで、役作りには遠く及ばず…。

深津絵里(「女の子ものがたり」)、永作、そして小泉と3人もの女優さんが自分を演じてくれるという僥倖に恵まれたサイバラ(写真下)は大満足だったかもしれませんが。

あと残っているのは、ブレーキの壊れたギャンブル・エピと脱税エピくらいか(難しいだろうな、映画化は…)。

※参考:「毎日かあさん4出戻り編」→2008年4月1日
     「西原理恵子原作の映画が当たらないワケに関する浅~い考察」
      →2011年2月2日