暗殺者に仕立てられた男の徒手空拳。
「ドミノ・ターゲット」
(1976年/スタンリー・クレイマー監督)
ちょいと訳アリで15年以上の刑期を残す元ベトナム狙撃兵ロイ(ジーン・ハックマン)。
ちょっとした見返りで出所させてやると持ちかける謎の男(怪しい顔世界一リチャード・ウィドマーク)。
見返りとはとある要人の暗殺なのですが、相手も雇い主(黒幕)も暗殺の理由すら、まるで明らかにされません。
主人公同様、我々も何の情報も与えられぬまま歯車だけがぐーるぐる。
後に残るのは人・モノの区別なく消し去られていく「証拠」と「足跡」。
「暗殺」という計画が顔を出すまで1時間近く引っ張るのは如何なものかと思いますが、それなりに後半の伏線になっていなくもないので、ギリギリ許容範囲でしょうか。
計画自体は「謎の組織」の人たちが勝手に練っているので、予測される困難を知恵と勇気で回避する「ジャッカルの日」的緊張感はありません。
この辺りは「マクガフィン」なんでしょう。途中下車できないジェット・コースターに乗せられた男(たち)の悲劇がテーマのようなので。
ハックマンの妻役にキャンディス・バーゲン。若いけどやっぱ老け顔(今調べたら「2010年」のSAL9000の声って彼女だったんですね)。