『次郎、大きくなったらMATに入れ。MATの隊員は皆勇気ある立派な人たちだ。君も嫌なもの、許せないものと闘える勇気ある男になるといい』
ウルトラマンに変身し、格好良く去っていく郷秀樹。正に大団円…って、ちょっと待て。
実の兄(岸田森)、姉(榊原るみ)をナックル星人に殺され、兄代わりの郷秀樹(団次郎)にも去られ、天涯孤独となった少年次郎。
単にマンションご近所という理由だけで次郎を押し付けられた女子大生ルミ子(岩崎和子)。
ルミ子は完全に郷秀樹狙い(結婚式の夢とか見ている)だったはずですが、郷をゲットできぬままガキだけキープ。
これって「コブ取り爺さん」の悪い爺さんに匹敵する貧乏クジなんじゃないか。
「帰ってきたウルトラマン/最終回・ウルトラ5つの誓い」(1972年3月31日放送/本多猪四郎監督・上原正三脚本)
岸田森と榊原るみを子供番組とは到底思えない残虐な殺し方で葬った「ウルトラマン夕日に死す」を書いたのも上原正三。
この人、次郎君に何か恨みでもあるのでしょうか?
登場するバット星人は、次郎とルミ子を人質にとり、初代マンを倒したゼットンを操ってウルトラ抹殺計画を遂行。
MATをゼットンに引きつけておいて、その隙にMAT基地の原子炉を破壊(!)するというクレバーな奴です。
武器弾薬庫は水没、滑走路大破で離発着不能。街中に不時着したマットアロー1号を修復したものの、燃料は10分あるかどうか。
ほとんど徒手空拳で決戦に挑むというシチュエーションはちょっと燃えるものがありますが、バット星人の造型が酷すぎ。
帰りマンの怪獣造詣は高山良策のグドン、ツインテール、東宝特殊美術部のタッコング、アーストロンなど一部を除いて総崩れ状態。
Wikiの記述によれば、バット星人のデザインは小学館編集部スタッフによるものだとか。
素人にデザインやらすなよ。成田亨が如何に凄まじい才能の持ち主だったのかを再認識いたしました。
次郎とルミ子は続く「ウルトラマンA」の第10話「決戦!エース対郷秀樹」で揃ってゲスト出演していましたが、いやあ、ちゃんと次郎の面倒見ているなんて、偉いぞ、ルミ子。
と言うか、上原正三ともあろう人が、人間の善意に依存した脚本書くなよ。