デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

追悼:団時朗(次郎)。帰ってきたウルトラマン/第37話・ウルトラマン夕陽に死す

帰ってきたウルトラマン郷秀樹こと団次郎(現:団時朗)氏がお亡くなりになりました。

22日午前4時14分。肺がん。74歳。

数々のドラマ、舞台に出演していますが、やはり私ら世代にとっては「帰ってきたウルトラマン」の人。

問題作の多いシリーズでしたが、とりわけ子供心にトラウマ級の傷跡を残したのが、

帰ってきたウルトラマン/第37話・ウルトラマン夕陽に死す」(1971年12月17日放送/富田義治監督)


脚本は勿論、上原正三

初代ウルトラマンはハヤタの体を借りてはいましたが意識はウルトラマンひとつでした(ハヤタは第1話以降最終回までの記憶がない)。

ウルトラセブンは偶然目撃した地球人の姿を借りてモロボシ・ダンと名乗っていました(つまり意識はどの姿の時もウルトラセブン)。

しかし、帰ってきたウルトラマン(意地でもジャックとは呼ばない)は違います。

宇宙人であるウルトラマンの意識と人間である郷秀樹の意識を同時に抱えるいわば多重人格者。

人間であって人間じゃない。宇宙人であって宇宙人じゃない。

その心のバランスの脆弱さを突かれたのが第37話です。

地球侵略を画策するナックル星人がシーゴラスとベムスターを使ってウルトラマンの身体能力、攻撃・武器の破壊力を計測。

データ採取の結果、予想以上のハイパワー。このままでは勝機は薄い。もうひとつウルトラマンの弱点を見つけないと。

そこで目を付けたのが、郷秀樹の家族と言っていい坂田兄妹(岸田森&榊原るみ)。

恋人でもある坂田アキ(榊原)を車で拉致、止めようとした坂田健(岸田)を跳ね飛ばして殺害。


更にアキを車で引きずり倒す(病院搬送後死亡)という暴挙。


怒りと悲しみで心乱したウルトラマンは怪獣ブラックキングとナックル星人にボコボコにされて拘束、そのまま市中引き回しの刑に…。


あのよう、上原(呼び捨てかい!)、何もそこまで郷を追い詰めなくても良かったんでないかい?

それとも岸田&榊原を降板させなければならない大人の事情があったのか?(あったようです。榊原るみに他のドラマ出演が決まり、スケジュール確保が難しくなったそうで)。

ヒロイン轢殺という子供番組とは思えぬ前代未聞の衝撃展開。

更にナックル星人は、ニトログリセリンの6千倍の威力を持つミサイル用液化火薬サターンZを強奪、MAT基地全体を強力な電磁波で覆って機能不全にした上で、12時間以内の無条件降伏を勧告。

宇宙ステーションV1を殲滅したナックル星人の宇宙船団が地球に迫る中、決断を迫られるMAT(と言うか人類)。

「セブン暗殺計画」と「史上最大の侵略」を合体させた大技の波状攻撃。

後編となる第38話「ウルトラの星 光る時」では初代ウルトラマンウルトラセブンがゲスト出演。ハヤタ(黒部進)、モロボシ・ダン森次晃嗣)が科特隊・ウルトラ警備隊の制服に身を包んで登場と言うサプライズまで。


盛り上がり放題の大団円でしたが、やはり岸田と榊原の残酷ショーが尾を引いてしまいました。

余談ですが、サターンZの開発目的は国土開発。裏日本(!)を形成する中央連山を切り崩して灌漑用ダムを建設して気候の温暖化を図るという稀有壮大な(かなりの問題を含んだ)プロジェクトでした。

★こちらもどうぞ。

 

(敢えて旧芸名で)団次郎さん、お疲れ様でした。光の国でごゆるりと静養を。ご冥福をお祈りいたします。

 

 

 

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★本日3月25日は古尾谷雅人(1957~2003)の命日。

古尾谷さんと言えば、「女教師」と「人妻集団暴行致死事件」とこれですよねえ。

 

★本日のTV放送❶【19:00~BS12/土曜洋画劇場】

★本日のTV放送❷【21:00~BS-TBS

※放送は勿論「タクシードライバー」です。