1作目から数えて19年。拡げまくった風呂敷を畳もうとしたら、前衛ホラーという新しいジャンルになってしまいました。
「ファンタズムⅣ」(1998年/ドン・コスカレリ監督)
怪人トールマンがすっかりジジイ。可愛い少年だったマイク(マイケル・ボールドウィン)も栄養失調のメル・ギブソンのようなおっさんに。
兄は中年、リジーは後頭部まで見事にハゲ。早くまとめに入らないと後がありません。
しかし、この間、CG技術は大幅進化。
まずは空飛ぶ銀球「スフィア」をこれでもか!と増量。大挙して景気良くすっ飛んでくる銀球は圧巻壮観。
さらに、過去の名場面、削除シーン、アウトテイクにCG合成を加えて出演者全員若返りに成功。結果、回想シーンが増えて話が進まない進まない。
この進展の無さから来る静的場面の連続を回避するために、一定時間置きに車を派手に爆破(都合3回大爆発)。ダレた頃を見計らって眠気覚ましにちゅどどどどん。
で、全体を見渡してみると、辻褄も整合性も彼岸の彼方。前衛ホラーのできあがり。
続編作る気満々の終わり方をしますが、次はもう全編CGにしないと駄目なんじゃないか。
この時のマイケルはまだ「見れる」範疇にいましたが、1作目DVDの映像特典を見るとその劣化は留まる所を知らず(なんせ本人が「あんなに可愛かったのにこんなになっちゃってゴメンよ!」とか言ってるくらいですから)。
なによりトールマン役のアンガス・スクリムが生きているかどうか。
急げ、コスカレリ! 君に残された時間はあと僅かだ。
※関連:「ファンタズム(の音声解説)」→2009年3月6日